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  010 あやとりの遊び唄  (09/29/2001)

こんなCDを手に入れました:JVCワールド・サウンド・シリーズ 『
極寒の歌声 ケープ・ドーセット イヌイットの歌 』。 カナダ東北部バフィン島・ハドソン湾岸地区で、1993年に現地録音された‘のど遊び唄(カタジャック)、子守唄、お手玉などの遊び歌を30曲収録。 その中に、「String Game Song あやとりの歌」があります。 

あやとりを取りながら歌うというのは、遊び方として珍しいわけではありません。 日本でも、「二人あやとり」から続ける‘文福茶釜’には数々の遊び唄が知られていました。 このカナダやアラスカ、シベリアなどの極北圏では、長い冬の夜の楽しみの一つとして、子どもたちにあやとりを見せながら、唄や伝説を聞かせたそうです。 そのような伝承の一部は文字記録に残されましたが、実際に歌われているのは、これが唯一の貴重な資料かもしれません。 この地方のあやとりも収集されていますが、残念ながら、この収録曲がどのあやとりに伴う唄かは不明です。

(TS & Ys)

 

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009 ‘CAT’S CRADLE’(猫のゆりかご)の語源 (09/23/2001)

英語では「あやとり」を‘string figure(s)’あるいは‘cat’s cradle(s)’と言います。 ‘string figure(s)’は文字通り「糸の形、模様」であり、19世紀の終り頃、研究者が使い始めたようです。 しかし、‘cat’s cradle’(猫のゆりかご)の語の由来は、まだ明らかにされていません。 ここでは、その解明に取り組んでいるイギリス在住の会員、Dr. A. J. Abrahamの仮説を簡略に紹介します。

‘cat’s cradle’の語が文献上に現れるのは、1768年版のオックスフォード英語辞書(OED)が最初です。 その説明から、この言葉が「ふたりあやとり」を指していたことが分かります。 また、シェークスピアの作品には46種の室内・外の遊びが出てきますが、‘cat’s cradle’はありません。 それで、Abraham 氏は、シェークスピアの没後1616年から1768年までの間に、英国に「ふたりあやとり」が‘cat’s cradle’として伝えられたと考えました。 

1650年頃から、英国は、茶を輸入するために、帆船「ティー・クリッパー」を東洋へ走らせていました。 この17世紀後半から1770年頃までの期間、「ふたりあやとり」が存在したことが記録に残っているのは中国(当時は清朝)と日本だけです。 その周辺地域にもあったかもしれません。 この事実を基に、次の仮説を立てました。 「ふたりあやとり」は、「ティー・クリッパー」の船員たちによって、中国あるいは日本から英国へ、‘cat’s cradle(s)’と呼ばれる遊びとして伝えられた。

この説を裏付ける明確な証拠はまだ発見されていません。 しかし氏は、航海用語での‘cat’や‘cradle’が、‘cat’s cradle’に結びつくことを明示できれば、有力な説になると考え、これらの用語の調査を続けています。

さて、動詞の‘cat’は「錨(いかり)を揚錨架(ようびょうか)に吊るす」を意味します。 当時の旧式の帆船には、船首側に両舷を繋ぐ横材[cat beam]が張り渡され、そこには引き揚げた錨[catted anchor]を吊るしておく揚錨架[cat head]が装備されていました。 一方、‘cradle’には、「ボートのような大きな物を(甲板を傷つけないように)保管する装置」の意味があります。

ここからは推論です; おそらく、引き揚げた錨を格納しておく装置 − たぶん、ロープの網のようなもの - があり、その装置は‘cat head cradle’あるいは ‘cat beam cradle’と呼ばれていたのではないか。 そして、その形状が「ふたりあやとり」の初めの形に似ていたので、この遊びを‘cat … cradle’と呼び、いつの間にか‘cat(’s) cradle’と言いならわすようになったのではないか…。 付け加えれば、いまでも、初めの形は‘a cradle’と呼ばれています。

今のところ、この推理のアタリ/ハズレは判明していません。 全く別の説を唱えている人もいます。 しかし、船乗りは様々なロープの結び方の考案者でもあり、彼らの中に、「あやとり」に興味を持つ者がいたとしても不思議ではありません。 陸に上がってから、子どもたちに未知の海へ漕ぎ出した思い出話をしながら、「猫のゆりかご」を教えていたと想像するのは楽しいことではないでしょうか。

詳しくは下記の文献にあります。

Abraham, A.J. (1987) String Figures. Algonac, Michigan: Reference Publications Inc.

また、最近の論争については、昨年の会報(
BISFA - Volume 7, 2000) の “Letters to the Editor (pages 353-356) ” をご覧下さい。

  (Ys)

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008 アヤトリカクレエビ (09/08/2001)

エビの仲間に、イソギンチャクと共生している「アヤトリカクレエビ(Izucaris masudai)」がいます。 耳新しい名前と思っていたら、
1999年に正式に和名として採用されたとのこと。 どのような経緯で、この名前が採用されるに至ったのでしょうか。

生態写真が幾つかのサイトで公開されていますが、風景にとけ込み、なかなか見分けがつきません。 興味のある方は、検索サイト⇒アヤトリカクレエビ] からどうぞ。

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〔追記 02/07/2006〕

この和名を命名された方から、以下のメールが届きました。 長年にわたる疑問が解けて、本当に嬉しいです。 このように名前の由来がわかると、その生きている姿を見てみたくなりますね。 奥野さん、楽しい情報をお寄せいただき ありがとうございました。

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千葉県勝浦市にあります、千葉県立中央博物館 分館海の博物館研究員の奥野と申します。

アヤトリカクレエビが貴ホームページの“あやとりトピックス”で紹介されていることを知り、ご連絡させて頂きました。

このエビは、私が1999年に新種として発表したエビで、標準和名アヤトリカクレエビは私が考案したものです。このエビは、イソギンチャクに共生しているのですが、宿主であるイソギンチャクの色彩が変化に富み、それに擬態するために、エビ自体の体を走る線状の斑紋の形や長さに大きな個体差が見られます。そこで、“線の形が様々に変わる”ことを“紐の形が様々に変わる”あやとりにちなんで、この名前をつけました。

私が小学生の頃は、休み時間になるとクラスの女の子の誰かしらが、あやとり遊びをしていた記憶があります。最近の小学生はどうなのでしょうか。不器用につき、自分であやとり遊びをした経験はほとんどありませんが、紐の形を自由自在に変えるクラスメイトを羨望の眼差しで眺めていたことを思い出します。

おせっかいなことかも知れませんが、私が考えた名前が自然科学以外のフィールドで紹介されていたことを嬉しく思い、ご連絡させて頂いた次第です。

奥野 淳兒

千葉県立中央博物館 分館海の博物館

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「アヤトリカクレエビ」の美しい生態写真は 《 Shrimp World 》 (エビの水中写真)のサイトにあります。 ご説明通り、イソギンチャクと見分けがつかないように色彩・模様が変化しています。 とても同じエビには見えません。 このようなサイトが公開されていることに感謝します。

ホーム・ページ(左バナーをクリック)の 「エビの珍種,生態写真等」 から 「No.20 アヤトリカクレエビの色彩変化」のページへ。

(TS)

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007 「音」の出るあやとり (09/01/2001)

ドイツ在住の会員が、「聴診器」というあやとりを考案しました。 三叉状のループを作り、その2つを耳に掛け、残りの長い輪を前へ垂らします。 右手でその先端を持ち、聴診器のように相手の胸に当てます。 そして、左手の指で2本の糸をはじくと、耳元で心臓の鼓動のように聞こえるのです。(イラストと英文解説は 
String Figure Magazine - vol. 5, no. 4 にあります。)

ところで、これと同じ趣向<
アイデア>のあやとりが、日本では「雷ごろごろ」という名で伝わっています(夏堀謹二郎  『 日本の綾取 』 有紀書房、1986:p.83)。 「朝顔」から続けて取り、三叉の輪を作ります。そして、耳に掛けた糸をこすって、雷の「ごろごろ」と鳴る音を聞かせます。

「音」の出るあやとりは、この2種だけしか知られていません。 新たな着想のあやとりを考えてみてはいかがでしょうか。

(TS)

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006 童話の中の「あやとり」 (08/25/2001)

あやとりひめ(五色の糸の物語)』 作:森山京、画:飯野和好、理論社、19994月刊。 アヤという名の少女が亡くなったお母さんから教わった、五色の糸を使った「あやとり」に助けられ、困難を乗り越えていく物語。

そらをとんだけいこのあやとり』 (作・画:やまわきゆりこ、福音館書店、1985.6月刊) には“はしご”のあやとりが出てきます。

    (TS & Ys)

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〔追記 11/27/2004〕

野ウサギのラララ』 舟崎 克彦/舟崎 靖子 理論社 1997

記憶を失ったうさぎが、ある小さな島に漂着します。 アナグマ新聞社のアナグマに助けられ、「ラララ」と名付けられ、新聞記者の助手として過ごします。 その春からの一年の間に出会った、さまざまなユニークな登場人物との交流を通して‘自分’を再発見していく物語です。

この中に、アヤトリ研究所のツノガエルが出てきます。 ツノガエル氏は、"すべてのものは形がある"という哲学の下、具象的なものから抽象的なものまで、あらゆるものをアヤトリで表現します。 「ネズミのハハハが夢の中でひっくりかえしたホットケーキ」、「シオマネキのマッチ棒のような目にうつる大波」、「ラララがなくしたもの」...。 それらが癒しの表現になっているのですが、もちろん具体的な形が描かれているわけではありません。 読者の皆さんは どのようなアヤトリを想像されるのでしょうか? 

(TS)

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005 「マンモス」のあやとり (08/15/2001)

1999年5月5日NHKラジオ第一放送で、C.W.ニコル氏が、「昔話は、永遠に心に残る」というテーマで、お話をされていました。 その中で、氏が若い頃、北極近くの極北圏を旅していた時の体験談はとくに興味深いものでした。

マンモスの牙の発掘調査に立ち会った時、イヌイットの老人が、その発掘されたものを見て、「カンファンクェ」と言って、その絵を描いたそうです。 数年後の冬、氏は、そこから遠く離れた極北圏を旅していた時、イヌイットの老婦人から話を聞く機会を得ました。 氏はふと思いついて、「カンファンクェ」のことを聞いたそうです。 方言がいくつもあるため、その老婦人は、最初は、何のことか理解できなかったのですが、ついに、意味がわかり、マンモスのことを話し始めました。 「マンモス」のあやとりを取りながら−イヌイットはマンモスの毛で釣り糸を作る、また別の部分の毛で暖かい靴を作る、肉を使う、どこどこの部分は、どう使うなどと、話は長時間続きました。 氏は、その時、あやとり(あるいは昔話)は、TVの無い時代に、知識・情報を伝えるものとして利用されていたのでは、と推測したそうです。

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1999年、英国BBC放送の科学ドキュメンタリー番組の担当者がISFAに、絶滅した生きものを表現したあやとりについて問い合わせてきました (*)。 先住民族の中で古代の記憶がどのように伝達されて維持されるかを示すために「あやとり」をその実例として使いたいとの由。 とりわけ、アラスカのイヌイットがマンモスを描写したあやとりを本当に作っていることを確認したかったようです。 絶滅した生きものの「あやとり」が伝承されている事がその証拠になると考えたのでしょうか。

ISFAは「マンモス」のあやとりがあることを話しました。 この「マンモス」のパターンは、「伝説の怪物」「湖の精霊」など、様々な呼ばれ方をしながら、ほとんどすべてのイヌイットに広く伝わっています。 大昔のイヌイットの人々が生きているマンモスを見て この「マンモス」のあやとりにその記憶を留めようとしたのか、絶滅の後、たまたま、凍土の下に眠る原形を残した遺骸を発見してこのあやとりを作ったのかは定かではありません。 この文献にも記録された「マンモス」と、C.W.ニコル氏の見た「マンモス」は同じあやとりなのでしょうか?

そして、老婦人の話にあるマンモスは、狩猟によって獲得したのでしょうか(−とすれば、あやとりの「マンモス」もその時代から ! !)、それとも、‘氷河漬け’を発見して頂戴したのでしょうか(−マンモス絶滅よりもはるか後世の作?)…。


(*) BBCからの問い合わせの記事(英文)は ISFA News, vol. 5, no. 1 (March, 1999)

  「マンモス」のあやとりの解説は 世界のあやとり 、ならびに S.F.M. vol 4, no. 4 (December 1999) (英文)にあります。

(TS)

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004 『世界ふしぎ発見!』 (08/03/2001)

TBSTV系列の『世界ふしぎ発見!』。この番組では「あやとり」がクイズの問題に取り上げられたことがあります(「イースター島・モアイの謎を解く! 」の巻 1996/10/19)。
最近では、デネの少女が「あやとり」をしていました−「極北カナダオーロラを求めて」の巻 (2001/1/13 放送)。下記のURLで、黒田美樹さん(ミステリーハンター)がそのときの様子を話しています。

http://www.tbs.co.jp/f-hakken/mystery716_1.html

(TS)

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003 新体操「あやとり」 (05/08/2001)

昨年(2000年)のシドニー・オリンピック、新体操の団体競技で、日本チームが披露した造形技にはユニークな名称が付けられていました:「御所車スペシャル」、「糸巻き」など。
その中に、「あやとり」と名づけられたフープとリボンの演技があったようですが、残念ながら見ることができませんでした。
この造形技を紹介しているサイトをご存知の方、写真などをお持ちの方がおられましたら、協会までご一報をよろしく。 

(TS)

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002 「あやとり橋」 (05/08/2001)

日本各地には、「あやとり」にちなむ造形物があります。

石川県山中温泉にあるのは、草月流家元・勅使河原宏氏がデザインした「あやとり橋」。 ちょうど、あやとりで糸が絡みあったような造形になっています。 皆様の近くにも、このような「あやとりオブジェ」があるかもしれません。 探してみてはいかがですか。

〔 追記 04/03/2004 〕
東海テレビ制作のお昼の帯ドラマ:「はるちゃん」−温泉旅館の仲居さんが主人公です。 これは、96年秋に 石川県・山中温泉を舞台に始まった番組ですが、こちらの地域では、朝の6時に再放送されています。 

この番組のイントロの登場人物紹介のところで、はるちゃんが、この「あやとり橋」を渡って来るシーンがあります。 まさに、あやとりの中をくぐり抜けて通っているという感じです。 単なる写真では、味わえない感じがします。

      (TS)

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001 「あやとりダンス」 (04/08/2001)

日経サイエンス(1999年12月号)の"数学レクリエーション"では「あやとりダンス」が紹介されています。 長い一本の輪を---はじめは3人、次々とダンスに加わりながら最後は10人で---あや取りながら、5種類のプラトンの正多面体を次々に表現していくのだそうです。 (イアン・スチュアート 「あやとりのダンスで正多面体を作る」)。

このダンスは、カリフォルニアの舞踊団 "The Dr. Schaffer and Stern Ensemble" の「数学的ダンスショー」の呼び物の一つになっています。 詳しくは、このサイトの ISFA News 1999年9月号(英文)をご覧下さい。

(Ys)

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Last updated  02/07/2006