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  040 『 ドラえもん 』−3  (09/29/2002)

先日放送された『 ドラえもん 』(テレビ朝日系、9/13)、「スーパーウグイス嬢」の巻に、のび太君お得意のあやとりが出てきました。

のび太君は、あやとりの新作:「銀河」を作ってみんなに見せますが、全く無視されてしまいます。 そこで、ドラえもんに、「スーパーウグイス嬢」を出してもらいます。 これは、電波を発信し依頼通りの、場合によってはヤリすぎの宣伝効果を出すロボット人形です。

効果には3段階の、「並」、「上」、「特上」があります。 「並」では、のび太君の家のテレビを乗っ取り、あやとりの宣伝をします:TVニュースで、“のび太君は、すばらしいあやとり作品を作った”、また、‘あやとり協会’会長の談話として、“次回のあやとり世界大会の日本代表に決定した”、などなど様々な報道がなされます。 「上」では、町内のテレビ放送で、「特上」では、日本全国のテレビ放送でと、宣伝の規模がさらに大きくなり、「のび太記念日」の祝日を作るとか、だんだん大げさな賞賛となっていきます。

ところで、のび太君の「銀河」は、五角星が三つ連なった:☆☆☆:パターンでした。 創作あやとりには、五角星一つや二つ並んでいるパターン(
Five-Pointed Star II”:S. F. Magazine vol. 4, no. 2, “Binary Stars”:S. F. Magazine vol. 5, no. 1)はありますが、五角星が三つ連なるのは、まだ知られていないようです。

皆さんも、この‘三連星’あやとりに挑戦してみて下さい。 見事な仕上がりの作品は、ISFAの年会報や季刊誌 String Figure Magazine に発表させていただきます。 「スーパーウグイス嬢」ほどの宣伝効果はありませんが…。

(TS)

 
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039 『 月刊REC 』 のあやとり記事  (09/21/2002)

パロディ・ジョーク・ウソ満載の‘お笑い’サイト、《
サンセット大通り 》 に、「定例あやとり展」のページがあります。 その中の、「あやとり--両手に広げる果てしない宇宙」と題された、あやとりの歴史的考察のパロディは、一読に値します。 “<ホンモノ>の方も、ここまで見事に解明されていればなァ…” と思うのですが、今のところ、江戸期以前の証拠資料は全く発見されていません。

ところで、最近発売された、『 月刊 REC レクリエーション No.523 』 (2002/09、 財団法人 日本レクリエーション協会 発行) の「なつかし遊び 第5回」 は、あやとりを取り上げています(p.17)。 驚いたことに、「あやとりの歴史」の項は、上記のパロディの文章を、出典を明らかにせずに、引用しています。 つまり、すべて<ウソ>なのです。 良識ある読者諸氏は、読み進むうちに、‘藤原也片、沼田親王’といった名前を見て、不審の念を起こされるでしょうが、そのまま事実と受け取る人もいるかもしれません。 一方、後半の「世界のあやとり」の内容は、ISFA のページからの無断引用による、<ホント>の話です。 

くり返しますが、「あやとりの歴史」は、上記‘お笑い’サイトのパロディ文からの引用で、その内容はすべて虚偽。 「世界のあやとり」は ISFA のページ( 「あやとり」について ) からの無断引用で、その内容はすべて事実です。 つまり 『月刊 REC』 のこの記事は、虚実ないまぜの、読者を惑わせるだけのものでしかありません。

欄外に [ 協力 : 国際あやとり協会 ] とあります。 しかし、ISFA がこの記事 --- 「なつかし遊び 第5回(大誤解?) あやとり」 ---に協力したのは、掲載写真提供だけです。 ISFA は、この記事の文章の作成には一切関与していないことを、ここに明記しておきます。

<ホンモノ>のあやとりの歴史的考察について知りたいと思われる方には、『
童遊文化史』 (半澤敏郎 著、全5巻、東京書籍、1980) をお勧めします。 また、ISFA では、その後の新知見を加えた、あやとり関係の文献リストを準備中です。 いずれ、このトピックスで公開します (*)。

(*) データベース トピックス 049 054 074 107 116 

(Ys)

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038  ギリシャのあやとり  (09/15/2002)

先日、石彫作家のU氏から、ギリシャのあやとりについての問い合わせがありました。 

氏は、20数年前にギリシャ旅行された時、あやとりのひもを持って行かれました。 コミュニケーションのための道具になればとの思いからです。 そして、ロドス島ロドスの旧市街で子ども達に出会い、あやとりを取って見せたところ、すぐに子どもたちも、そのひもで「二人あやとり」を見せてくれたそうです(*)。 そのようなことがあったので、帰国後も「ギリシャのあやとり」について知りたいと思われていたとのことです。

(*)その時の写真は、氏のサイト:
福郎石彫おうる工房 の「想い出の旅 II 微笑みの国ギリシャ」 のページにあります。
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ISFA にある文献 (Brewster, P.G. and Tarsouli, G. (1951) "A String Figure Series from Greece", Epeteris ton Laographikon Archeion 13) から、ギリシャのあやとりを紹介しましょう。


1950年頃のギリシャでは、あやとりはたいへんポピュラーな子供(とくに少女)の遊びとして知られていました。 あやとり遊びの総称は「のこぎり」で、これは「二人あやとり」の一つの形の名前に由来します。 このレポートには、「二人あやとり」の取り方とそれぞれの形の名称が記載されていますが、「はしご」のような一人で作るあやとりについては記述がありません。 

◇◇◇ ギリシャの「二人あやとり」 ◇◇◇

はじめに、親指以外の4本の指に輪を1回巻きつけます。 そして、中指で手のひらの糸をアヤにとります。 この形には名前はありません。
次が「網、田んぼ」の形、これは「網、マットレス、目、四角形、魚、マット」などと呼ばれています(名称は英語訳からの再訳、一部省略)。
3番目の「川、畑」、この形は「ドア、小さいベッド、海、貯水池」、そして「川」もあります。
その次の「舟」は、「シーソー、ゆりかご、飼い葉桶、腰掛け」そして「ボート」。
再び現れる「網」には、「格子窓、フライパン」。
次の「馬の目」は、「小さなドア、窓、ケーキ」など。
7番目の「魚、カエル」には「魚、はたおりの杼、魚の骨」の呼び名があります。

ここまでは私たちの普通の取り方と同じです。 ギリシャでは、4番目の「シーソー」から「のこぎり」へ進みます : 糸を持つ人が、手前側の左右真っ直ぐに走る糸を口にくわえ、もう一人が向こう側の真っ直ぐの糸を取った後、親指と人差指の輪を外し、小指の輪だけを残します。 これで、十字状の4つの輪の「のこぎり」ができました。 唄を歌いながらこの輪を交互に伸ばしたり縮めたりします。 U氏の写真の少女たちはこの遊びをしているのでしょう。 文献には、3種類の唄が記載されていますが、ロードス島の子供たちはどのような唄を歌ったのでしょうか。

この「のこぎり」が、おそらく、最も人気のあるパタ−ンであったので、ギリシャでのあやとり遊びの総称になったと思われます。 このあやとりは日本でも知られていますが、「二人あやとり」の途中から作ることはないようです。 一方、私たちの知っている「鼓」や、その続きの6つの輪で遊ぶ「文福茶釜」はこの文献にはありません。 ギリシャでは、7番目の「魚」から、もうひとつの終りの形「はさみ」へ進む取り方もあります。

◇◇◇

民俗学的調査は無いに等しいので、起源などは謎のままです。 古代ギリシアの医学書にあやとりが記載されているという話は、今のところ、どこまで真実かわかりません ⇒ 
トピックス 015

以上、ギリシャあやとりについてのデータはごく僅かなものですが、日本のあやとりとの共通性 − 古代から<有文字>となった社会で、あやとりが現代(1950年代)でもよく知られた遊びであること; そのレパートリーの中心が「二人あやとり」であること − に興味を引かれます。


U氏の写真は、ISFA の貴重な資料としてコピー保存させていただきます。 このように、旅先での「あやとり遊び」の写真や、記録を残されている方は、この ISFA のサイトに情報をお寄せ下さい。

(TS & Ys)

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037 NHK-TV “あそび伝承塾” (08/18/2002)

8月9日、NHK-BS2/11の番組 “あそび伝承塾” (10:50-11:00pm)で、あやとりを紹介していました。

ループの準備から始め、「初めの構え」・「中指の構え」といった最初の構え、「返し取り」のような基本の操作を、ゆっくり取りながら説明しました。 そして、「一人あやとり」、「二人あやとり」を丁寧に紹介しました。

続いて、‘あやとりの達人’の女性が、「ダイヤモンド」ー「ソリ(すべり台)」ー「カメ」の連続技を披露し、最後に、いろいろな色のループで、「花(
)」)を作り、出来上がりパターンを床にたくさん並べました。 カラフルで、なかなか素敵な感じでした。

〔 追記  2004/4/17 〕
このシリーズは、何度か再放送されているようです。 「あやとり」のほかに「ビー玉」「お手玉」「めんこ」なども紹介しています。 追記として、少し補足しておきます。

あやとりの達人は 福田けい さん。 オープニングで、「
カモメ」、「カニ」、「チョウチョ(2重の2段はしごのような感じ)」、「やっこだこ」、「(そして、蚊をたたいてつぶす)」、「富士山」、「指ぬき」を紹介。 続いて、あやとりに用いる糸の話や、基本的な取り方の説明をはさんで、「一人あやとり」、「二人あやとり」、さらに「ダイヤ」からの連続技、「花」と続きます。

ところで、ナレーションで、あやとりの「綾」は‘交差する糸’を意味し、転じて‘繊細な模様’という意味になると解説していました。 さらに、「平安時代のたしなみ」 というようなことも言っていました(どうしてこのような情報が出てくるのか、残念なことです。 王朝物語でも和歌でも、これが「あやとり」のことを表現しているという出典を示してほしいものです ⇒ 
トピックス 039 107 116)。

(TS)

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036  <あの世>のあやとり (08/11/2002)

<死>を発見した人類は、死者のその後について思いを巡らせ、いつの頃からか、<あの世>のあることを信じるようになりました。 7月から8月にかけて、各地で見られる‘お盆’の風習には、仏教渡来以前の古い信仰のかたちも残されているように思えます。

ニュージーランドの先住民、マオリのあやとりには、ヨーロッパ人到来以前に人々が思い描いていた <あの世>が表現されています。 「テ・レレンガ・ワイルア 
霊魂の跳ぶ場所」。

死者の霊が冥界へ降下する行程が、このあやとりで象徴的に説明されます。 霊魂はまず、右手近くの三角形 (a) へ飛んで来ます。 そこから、左手近くの三角形 (b) へ跳び移り、さらに二つの三角形の間の空隙 (c) に跳び込み、冥界へ降下するのです。

また、このあやとりを採集した J.C.Andersen はその著書(*)に、ある研究者が年配のマオリ男性から聞いた、「死者の霊が冥界へ往く話」 を記述しています。 それによれば、マオリの死者の霊はすべてテ・レレンガ・ワイルアへ飛び集まってきます。 その丘の頂上で、哀悼の歌を歌い、鋭い黒曜石で自らを引き裂き、この世への思いを断ち切ります。 その後、霊魂はつる植物の根に沿って降下、岩の上で一息つきます。 その場所からは、潮流が波となって打ち寄せ、海藻がゆるやかに揺れて、レィンガ(冥界)への入口を見え隠れさせているのが見えます。 波が穏やかになれば、霊魂はこの入口から降下して冥界へと急ぎます。 あやとりの右の三角形が丘の頂上、左が岩、そして空隙が冥界への入口と見立てることができましょう。

次はその「テ・レィンガ 
冥界」です。 これは「タマ・レレチのカヌー」と呼ばれるあやとりの一場面です。 マオリの人々は‘カヌー伝説’と呼ばれる物語を数多く伝えてきました。 話のパターンは --- マオリのある一族の祖先が、遥か海の彼方の故郷 [ハワイキ] からカヌーを漕ぎ出し、幾多の冒険を重ね、ついにアオテアロアの島々(ニュージーランド)を発見する --- という展開になっています。 このあやとりでは、「タマ・レレチのカヌー」、「太平洋」そして、カヌーが難破、タマ・レレチが死者となって往く「冥界」、その三つの形が表現されています。

さて、冥界の祖霊は、再び生前の地を訪れることがあるのでしょうか? 西洋文明が到来する以前のマオリ社会に‘お盆’の風習はあったのでしょうか? それは定かではありません。

ところで、言い伝えでは、テ・レレンガ・ワイルア(霊魂の跳ぶ場所)はニュージーランドの最北端、レィンガ岬にあります。 今は、釣りや観光の名所として旅行ツアーにも組込まれているそうです。


(*) Andersen, J.C. (1927) "Maori string figures." Board of Maori Ethnological Research, Memoir 2.

〔追記  2004/08/09〕
下記の書 (* 1) には、カヌー伝説の一つ「アラワ号の航海」が収録されています。 その後半では、一族の長タマ・テ・カプアのタンギ(葬儀)や、霊魂が冥界へ向かう行程も詳しく語られます。 "哀悼の歌を歌い、鋭い黒曜石で自らを引き裂き..."の一節は、死者への近親者女性による哀悼の行為として語られています。 霊魂の行程は、上の言い伝えとは相違点がありますが、本質的には同じです。 霊魂がその根を伝って降りて行く植物の名前は「ポフトゥカワ」、別名 クリスマス・ツリー と呼ばれるニュージーランドを代表する樹木の一つで、海岸の岸壁や砂浜に根を張ります。
 

(* 1) アントニー・アルパーズ 編著 『ニュージーランド神話 マオリの伝承世界』 井上英明 訳、青土社、1997。 

(Ys)

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035 「ホッキョクグマ」・「カリブー」 (07/28/2002)

いよいよ本格的な夏の到来です。 この時期になりますと、毎年恒例で、"動物園では、シロクマに氷柱のプレゼント" というニュースが、TVで流されたりします。 というわけで、今回は極寒の地に生きる動物のあやとりを紹介します。 少しは、暑さをしのげるでしょうか。

「漁網をやぶるホッキョクグマ」( ⇒ 
ホッキョクグマ )。 このあやとりはアラスカ北部や、その東方、カナダ・マッケンジー地方で収集されました。 「漁網」を保持している指をはなすと、2頭の 「ホッキョクグマ」 が出現します。 パターン中央寄りのホッキョクグマのたくましい臀部に注目してください。

次は、「カリブー」 (
カリブー (1) )。 アラスカからカナダ東部まで極北圏に広く分布しています。 首をかしげて、後ろを見ている感じです。 単純なパターンながら、なかなか素敵です。

そして、「柳の林の中のカリブー」 (
カリブー (2) )。 このあやとりを伝えてきたアラスカ北部バローの人たちによれば、"カリブーは、暑くなれば、柳の林の中に住んで、涼しくなればそこを去る" のだそうです。 出来上がりの形から、中指と薬指の輪を外すと、林から出てきたカリブーが現れます。


ところで、新潮社の季刊誌 『考える人』 ( 創刊号、 2002/7 ) で、
星野道夫 「カリブーの旅」、岩合光昭 「海の熊」 の連載が始まりました。 大昔から続くカリブーの大群の季節的移動、カリブーを狩るイヌイトの知恵や生活習慣など、このような奥深い背景があるのかと認識を新たにします。 一方、ホッキョクグマの写真は、最強の野生動物でありながら、愛嬌のあるもので、興味がつきません。

(TS)

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034 ナウルのあやとり 「雨」 (07/07/2002)

梅雨の季節です。 今回は、ナウルのあやとり「雨」の紹介をしましょう。 このあやとり (⇒ 
ナウルの「雨」) には、次のような唄が伝わっています。 パターンが出来上がれば :

 降ったり やんだり、 降ったり やんだり
 しと しと しと
 降ったり やんだり、 やんだよ やんだ

と歌います。 最後のフレーズで、親指の背で一本の糸(画像、矢印)を取り、人差指と小指にかかっている糸を外すと、糸の絡みがすべて解けます。

ところで、この網目模様のあやとりは、パプア・ニューギニア、ニュージーランド、ポリネシア、メラネシア、ミクロネシアの島々に、取り方に若干の変化を伴いながら、広く分布しています(解説と分布図は Bulletin of the ISFA Volume 1, 1994 : pp. 111-113)。

この中で、フィジー諸島では、このパターンは、「Full Morning 朝」と呼ばれています (⇒ SFM 6- 2 )。 このパターンを広げて見せる直前のぺしゃんこ状態の形のことを、「早朝」あるいは「夜明け」と呼びます。 そして、太陽がはるか波間から完全に姿を現し、その光線が明るく幾重にも射す光景を表した「朝」へと続きます。 また、ソロモン諸島では、ナウルのものと同じ趣向ですが、名前は「鳥の群れ」と呼ばれ、それが一斉に飛び去る光景を表しているのです。

この網目状のパターンを雨足と見なし、“雨がやむ”まで続けたナウルの人々; 朝の日差しと見て、それが現れる瞬間を表現しようとしたフィジーの人たち; … ; このように同じ形にも、土地によって様々な見方があるのです。

(TS)

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033 車輪と「あや取り」  (06/30/2002)

海外会員の創作に “Wheelbarrow 手押し車” があります(⇒ 
手押し車)。 渦巻き状の形を車輪に見立てています。

ところで、車輪と「あやとり」には、思いも寄らないつながりがありました。 自転車のホイール(車輪)ですが、中央のハブからスポークが周辺のリムへと伸びています。 このスポークですが、単純にハブの中心から外部へと放射状に向かっているわけではありません。 よく見ますと、スポークは、交差しあって外へと向かっています。 これをレーシング( lacing )というのですが、日本語では、「あや取り」という訳語をあてています。 ハブの穴を外側から出たスポークは、スポーク同士を交差させるときに内側を通るようにしています。 こうして自転車の車輪を組みあげていくのです。

(TS)

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032 「納 豆」   (06/09/2002)

ISFA の季刊誌
String Figure Magazine (あやとりマガジン)2巻1号 (March 1997) に、日本のあやとりが紹介されています (⇒ String Figure Magazine - vol. 2, no. 1)。 「カニ」−「納豆」−「おさげの女の子」と、パターンが変化していきます。 

この 「納豆」 は束ねた糸を両端で縛った形になっています。 これは、納豆そのものではなく、納豆を包んだ藁苞(わらづと)を表しているのです。 大豆をこの中に入れて納豆菌で発酵させるという、昔ながらの納豆を知っている人には、なるほど、と思われるパターンです。 しかし、今のような発泡スチロールのケースしか知らない子供たちは、「なぜ、これが納豆?」 と思ってしまうでしょう。 また、海外でも日本のヘルシーな大豆発酵食品が注目されるようになりましたが、どうしてこれが 「納豆」 なのか理解に苦しむのでは、と思います。

子供向けのあやとりの本で、この辺の事情をちょっと調べてみました: [1, 2, 3] は、この形を紹介しています。 [1] には、「わらなっとう」 の名称で丁寧な説明もありますが、[2, 3] は 「なっとう」 の名前だけ。 さらに、[4] では、「カニ」 から 「おさげの女の子」 への展開で、単なる途中経過のパターンとして扱い、「納豆」 のことに触れていません。 [5] は、「カニ」 だけで終わっています。 このあやとりは、消えていくことになるのでしょうか? 寂しい思いがします。

[1] あやとり研究会 編 『あやとり』 有紀書房、2000
[2] 野口広 監修 『
やさしいあやとり』 成美堂出版、1999
[3] 池田書店編集部 編 『
たのしくあそぶあやとり全集』 池田書店、1998
[4] 福田けい 監修 『
つくろう!あそぼう! あやとり遊び 人気のTVキャラクターやいきもの』 婦人生活社、2000
[5] 瀬戸宙子 『
たのしいあやとり遊び』 日本文芸社、1999

(TS)

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031 国立民族学博物館 (05/26/2002)

岡本太郎の話題( トピックス 029 )で、1982年頃、大阪・千里の万博記念公園内に在る 国立民族学博物館 (民博) へ行ったことを思い出しました。 そこのビデオライブラリーは、当時、最新式のもので、呼び物の一つでした。 ビデオのプログラムを選んで、ボタンを押すと、自動的にビデオテープがライブラリーから取り出され、自分のブースにまで運ばれてきて再生されます。 ガラス張りで、その様子が見えるようになっていました。

プログラムには、世界のいろいろな民族の生活が収められていたのですが、イヌイットの遊びの中に、あやとりを取って見せ合っているものがあったのです。 20年後の今でも、見ることができるのでしょうか、民博に問い合わせてみました。

以下は、広報普及室広報係からの回答です。

ビデオライブラリー( ビデオテークと呼んでいます )は、テープがデジタルデータ処理に変わったりして一部模様替えしていますが、健在です。 イヌイットの遊びの中に、あやとりを取って見せあっている番組は、廃止になりました。 他にあやとりが出てくるものとしては、『 カメラが最初にであった人々 』 番組中の 「 ガイアナのタウリパンの生活 」 (1911年撮影)と 「 アンゴラ北東部 手仕事と鉄づくり」 (1930年撮影)に少しだけ出てきます。
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また、情報サービス係からは、文献資料の検索・閲覧についてのご案内をいただきました。


あやとり関係の文献:

民博図書室のホ−ムペ−ジ から文献図書資料の検索 (MMIR) を使って検索してください。 民博図書室で所蔵しているあやとりに関する文献を見ていただけます。 「 日本語図書目録情報 」 または 「 外国語(ラテン文字)図書目録情報 」 のデ−タベ−スを選択して検索キ−ワ−ドに 「あやとり」 や 「string figures」 と入れてみて下さい。 それぞれ3件、15件当たるとおもいます。 そこから詳しい書誌情報を見ていただけますのでお試しください。 また、キ−ワ−ドを変えてお試しいただいてもよろしいかと思います。

図書室ではあやとり関係の映像資料をみることはできませんでした。 各々の資料を開けていけば写っているものもあるかもしれません。

閲覧方法等: 

図書室のホ−ムペ−ジよりご覧ください。

研究書中心の図書館のため、研究者の方を対象にしていますが、お近くの公共図書館等で希望の資料が見あたらない場合などは、図書館からの紹介状をご用意いただいて利用していただいております。
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このように、書誌情報が検索できるようになっています。 他のマルチメディア情報についても整備次第、提供されるようです。 ご回答をいただいた担当の方々にお礼申し上げます。

国立民族学博物館もインターネットの時代にふさわしく様変わりしていました。 あやとりは、それを伝承してきた人々の生活を知ることで、一層楽しむことができるでしょう。 興味のある方は、民族学資料の宝庫である同館へお出かけ下さい。

(TS)

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Last updated  08/09/2004