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  100   あやとりの「折り鶴」  (07/12/2004)

「あやとりトピックス」も回を重ねて 100回目を迎えました。 2001年4月、このコーナーを始めた頃は、すぐにネタ切れとなるのでは と思っていましたが、皆様の協力を得て、今日まで続けることができました。 情報提供や転載・リンク許可など、記事作成にご協力をいただいた皆様に厚くお礼申し上げます。

今回はその記念として、創作あやとり「折り鶴」を紹介します。 作者の前川氏は、1980年代に 『 ビバ!おりがみ 』 (* 1) で 折り紙の世界に新風を吹き込んだ方です。 折り上げる前の正方形の紙一枚の段階で 作品を"設計"することができる という画期的な「折紙原子論」を提唱。 その手法で生み出された「悪魔」を 発表当時にご覧になって、衝撃に近い感動を受けた方も少なくないでしょう (* 2)。

その氏が、日本あやとり協会時代に会員となり、オリジナリティーのある創作を発表されていることは、あまり知られていません。 その一つが この「折り鶴」。 あやとりで おりがみの「つる」を作るという、氏ならではの作品と言えましょう。 取り方も、完成形をイメージして、そこから手順を工夫されたとのこと。 いかにも氏らしい創作プロセスであります。

初心者には難しいと思われますので、ステップごとの画像を付けました。 是非チャレンジして、この素敵なあやとりをお楽しみ下さい ⇒ 
折り鶴


(* 1) 『ビバ!おりがみ VIVA! ORIGAMI』、前川淳 作、笠原邦彦 編著、サンリオ、1983

(* 2) 日本折紙学会の公式サイト 《
折紙探偵団》。

(TS & Ys)

 
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099  NHKTV 連続テレビ小説 「天花」 (06/17/2004)

NHKTV連続テレビ小説 「天花」 第69回(6.16.放映)で、あやとりのシーンが 2ヶ所ありました。

1.最初のシーン:茶の間の食卓
「幸せな夜です。 母とあやとりをした。 こうした夜は一生忘れることがないでしょう。」というナレーションで、娘の天花(藤澤恵麻)とお母さん(片平なぎさ)が、綾取りをしているシーンが流れました。 天花は「四段ばしご」を 母から教わりますが、母のようにはうまく出来ません。 次は、「指抜き」をしようと、やりかけますが、途中でやめ、次のシーンに移ります。 これは、実にほほえましいシーンです。

2.終わりの方のシーン:次の日の朝の保育園
天花が、ひとりであやとりをしています。 一晩たって、「四段ばしこ」ができるようになっています。 そして、佐伯静(星野真理)がやって来ます。 話のやりとりが一段落し、静がテーブルに置かれた毛糸のひもをとり、「
盃からの蝶」を取ってみせるシーンへと移っていきます。 このあやとりは、もう少しあやとりの世界に踏み込んでいけば知ることになる、非常にポピュラーな作品です。 けれども、天花のような、より初心者から見れば、この蝶が大きく羽をひろげていることを表しているみごとな作品は、目を見張りおどろくものでしょう。 このシーンは、静が自分の知らない世界を知っている、ちょっと不思議で、あなどれない存在であるということを暗に示しています。

〈連続テレビ小説「天花」〉のページ (*)、上の欄にある「ストーリー」をクリックすれば、天花と静が 綾取り遊びをしている一場面を見ることができます(6/20 まで)。

(*) 《NHKオンライン》 テレビ番組表の「天花」をクリック。

(TS)

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098  切手に描かれたあやとり - (5) ナウル (06/05/2004)

1988年に発行された この4種の切手は、H.C.モウドの著書(
「ナウルのあやとり」の本)から図案化されました (* 1) ⇒ あやとりの切手。 これまでに紹介した切手では「遊び」のテーマの中の一枚として「あやとり」が採用されていましたが、このナウル切手では「あやとり」がテーマとなっています。 このあたりにも、ナウルの人々の「kawada あやとり」に対する思い入れがうかがえます。

ナウル島は、陸地面積は わずか 21km2 のサンゴ環礁ですが、膨大な量の高品質リン鉱石を埋蔵していることが、19世紀の末に判明。 1968年の独立以降、その輸出による収入だけで裕福に暮らしてきたユニークな国家です。 1980年代から 資源枯渇後の新しい国家経営の方針が模索されてきましたが、その潮流の中で、島の伝統文化にも目を向けるようになり、このような切手が発行されたようです。

島の伝統文化としての「あやとり」。 しかし、それは、オーストラリア・アボリジニや、ニュージーランド・マオリのように、神話・伝説と密接に結びついて伝承されてきたのではありません。 ‘ただの遊び’として、島中の人々が熱中した時期があったのです。 また、そのパターンは、周辺の島々には見られない、織物のようなデザインが多数を占めています ⇒ 
「蝶」「マット」「エイディオウィナゴ」「エガッタンマ」。 この複雑なパターンを可能にしたのが、これもナウルだけで用いられたあやとりの‘糸’−人の髪の毛をきれいに編んだ紐 - でした。 このように、ナウルはあやとりの分野でもユニークな存在であったのです。

ナウルの人々の祖先は、ミクロネシアのカロリン諸島から到達。 その後、ギルバート諸島からの漂流民が加わりナウルの生活・文化のスタイルが形成されたと考えられています (* 2)。 ナウル島は、イースター島やラパ島につぐ絶海の孤島であり、風向きや海流の影響もあって、運の良い漂流民がたまに辿り着くだけで、ここから他の島へ移ることはほとんど不可能であったようです。 西洋人との出会いは1798年までありませんでした。

“この島では いつも楽しさと興奮のうちに日々が過ぎていったものだ。 体力自慢の若い男たちが、他の地区の連中と技を競ったり、若い男や女のグループが踊りや歌の発表会をしたり、シギ撃ち、凧上げ、おもちゃカヌーのレース、2、3日続く 歌や踊りもある あやとり大会、それから語りのコンクール、7月から9月にかけては ちょっと儀式がかったグンカンドリを捕らえる競技会もやった。 日常仕事は中年任せで、若者はもっぱらスポーツ、恋愛、喧嘩に時を過ごしたものだ。” これは 1930年代に取材された 古老たちの思い出話 (* 3)。

外敵に襲われる心配のないこの島では、人口
(千数百人:18世紀末)と食糧のバランスがとれている時期は、この思い出話の通り、楽しく日々を過ごすことができたのです。 とはいえ、ただ遊び呆けていたわけではありません。 このような好条件に恵まれた他の島々では、結果的に個人や集団の<攻撃性>が高まり、悲劇を招くことがありました。 地域間の対立を調停する高度の政治構造もなく、また‘逃げ場’のないこの島では、そのような事態を回避するために、むしろ積極的に地区対抗の競技会を催し、<攻撃性>を発散させて島民全体の融和を図っていた と考えられています。

さて、言い伝えでは、このあやとり競技大会は1700年代半ばに始まったとのこと。 古老たちの話と合わせると、100年以上(おそらく、断続的に)続いていたことになります。 年2回開催される大会が近づくと、島民の多くは「あやとり」にとりつかれた状態になり、肩や腰、手首に‘糸’を巻きつけて、暇があれば 新しいパターンを編み出すことに没頭しました。

大会では出場者が入れ代わり立ち代り、最新作を観衆に披露します。この作品コンテストだけで終わるのではありません。 新作を披露する人は、取り方を隠してパターンを作ります。 それを観衆に向けて高く掲げた瞬間から、そのパターンの再現を目指しての競争が始まります。 この競技には、パターンを見ただけで、その取り方の読める‘名人’たちが参加して、驚くほどの速さで作り上げたそうです。


ナウルあやとりは、3つのタイプに大別することができます。 
(1) 周辺の島々と共通するもの。 (2) この島だけで昔から伝えられたもの。 その中には、数人がかりで20−30分、延々と作り続ける長編あやとりもあったそうですが、記録には残されていません。 あやとり大会での創作の数々もここに含まれます。 (3) 1930年代の新作群。 これは、モウド夫人の訪問、研究調査に刺激を受けた数人の‘達人’が、わずかの期間に創り出したあやとりです。

切手に描かれた「ETEGERER と ETOGARITA」は
(1) のあやとり (* 3)。 「マヌジェの剣」は伝説にも登場する戦士の剣を表しています。 遠い昔から伝えられたあやとりと言われています。 「マット」は、(2) に属するナウル特有の織物風パターン。 

そして、「空を支える」。 原題「Amet Dedogo Oeron」の意味はわかりませんが、切手のデザインと英訳の表現 "holding up the sky" から、「天の川」あるいは夜空に綺羅めく星々を指していると思われます。 赤道直下の孤島から見上げる満天の星々は、‘天空’を支えているように見えるのでしょう。 同じデザインがハワイや、ニューギニア、メラネシアのソロモン諸島などにもありますが、ナウル固有の取り方なので、(2) のあやとりと見なされています。

(* 1) Maude, H.C. (1971) "The String Figures of Nauru Island." Libraries Board of South Australia Occasional Papers in Asian & Pacific Studies 2:pp.19-21, 116, 142-145.

(* 2) この記事は下記の論考を参考にしました。
    Maude, H.E. (1969) "The Cultural Setting." (前掲書 : pp..ix-xix)。

(* 3) 前掲書の引用記述 ( : p.xiii ) を一部改変 (出典: Wedgwood C.H. 'Report on Research Work in Nauru Island, Central Pacific'. Oceania (Sept. 1936) : p.31)

(* 4) Etegerer と Etogarita は人名。 切手の記載 「The Pursuer 追跡者」は別のあやとりの名称かもしれません (前掲書 : pp.19-21)。

(Ys)

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097  あやとりを特技にしているアイドル  (05/22/2004)

あやとりを特技にしているアイドルがいます。 昨年のNHK朝の連続テレビ小説 『ちゅらさん』に出演していた 山口あゆみさんです。 その腕前は2002年発売のビデオ&DVD 『green peas』 で見ることができます。  毛糸で「亀→ゴム→飛行機→かぶと→ネクタイ」「
トピックス 085)」「うさぎの国」、ビデオ版のみ「ちょうちょ」を披露しています。

幼い頃やっていたあやとりを改めて始めたきっかけは、内気で気持ちを伝えるのが苦手なため コミュニケーションの手段として用いる事を思いついたからとのこと。 毛糸の暖かさや温もりもあり 初対面の人と打ち解けるのに役だったそうです。 特にリポーターの仕事で 取材相手の素人の緊張をほぐすのに効果があったと話しています。

「うさぎの国」は、あまり知られていない創作連続あやとりで、最後にはネイティヴアメリカン(クラマス)の伝承あやとり「
ウサギ」が現れます (* 1)。 彼女自身「難易度5です」と発言している通り、このあやとりを作れる人は珍しいでしょう。 山口さんの、マルチタレント・あやとりファンとしての今後の活躍を願って止みません。

なお、「あやとり」で検索すると表示される「あやとり倶楽部」は、彼女のファンが作った応援サイトです。


(* 1) 神谷和男 (1980) 『たのしい創作あやとり』 日本文芸社

(K.K.)

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096  「ネコのかご(?)」  (05/16/2004)

イギリスの作家・ジャーナリスト、アーサー・ランサム (1884-1967) の冒険物語 『海へ出るつもりじゃなかった』に、以下の記述があることを教えていただきました。 船が流されて大混乱し、一段落してからの場面:

「なにもかも整頓しておこうよ。」とジョンがいった。「操舵室は綱だらけで、まるでネコのかごみたいだぜ。・・・・・」 (* 1)。

読者は この「ネコのかご」という表現にとまどうのではないでしょうか。 しかし、あやとりに関心がある方には、ピンとくると思います。 ご想像通り、原文では「cat's cradle(あやとり)のようだ」となっているそうです。 綱が‘あやとり’のようにもつれてこんがらがっている室内の有り様を描いているのです。

「今回のトピックスは、これで、終わり!!」としてもいいのですが、それにしても、海の勇者たちと、あやとりとの組み合わせに、ちょっと違和感を持ちます。 しかし、ISFA会員、A. J. Abraham さんが考えたように、船乗りにとって「あやとり」は、近い存在だったのかもしれません ⇒
「‘CAT’S CRADLE’(猫のゆりかご)の語源」。 氏の仮説として紹介した、一昔前の船に装備されていた"cat's cradle"を作者が知っていて、その意味も含めているとすれば面白いのですが、それは考え過ぎでしょうか。

(* 1) アーサー・ランサム 作/絵 『海へ出るつもりじゃなかった』(アーサー・ランサム全集−7、神宮 輝夫 訳) 1967 岩波書店 :第8章「ビーチエンド・ブイ」(p.144) (原著: Arthur Ransome (1937) "We Didn't Mean to Go to Sea") 

(TS)

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095  レスリングの技  (04/24/2004)

「あやとり」にまつわるイメージには、さまざまなものがあります。 一番わかりやすいのは、「もつれる、こんがらがる」といった視覚的イメージでしょう。

プロレスには「キャッツ・クレイドル (CAT'S CRADLE = あやとり)」という技があるそうです。 「闘龍門」のコンドッティ修司の決め技で、相手を倒して脚を四の字固めにし、自分の首に相手のこの片脚を引っかけながら立ち、相手を逆さ吊りにします。 聞いただけでも、かなり足と腕、体ががもつれ合っているイメージが浮かびます。

古館伊知郎氏は、プロレスの実況中継で一躍有名になりました。 言葉と格闘しながら速射砲のように生み出される‘古館節’は、皆さんもよくご存知でしょう。 その実況で、プロレスの技「トライアングルスコーピオン」を「足あや取り固め」と表現したそうです。 足が絡み合っている形から発想したフレーズなのでしょうが、‘古館語’としては地味な方かもしれません。
 
今回は、かなりマニアックな話題でした。

(TS)

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094  「わくわく授業」−NHK教育TV (04/17/2004)

「わくわく授業」は、その名の通り、全国各地の学校で行われている、生徒たちがわくわくするような授業を紹介しています (* 1)。 4月15日の放送は、岐阜東中学・高等学校、数学の亀井喜久男先生の「図形の授業」(中学2年)。 番組のサブタイトルは「古代の知恵と図形−ひも1本で図形がわかる」。 この‘ひも1本’というのは、あやとりの糸と同じ、結び目のない1本のループのことです。

授業は、生徒たちに ピラミッドの写真を見せることから始まります。 ピラミッドの底面が正方形であることを確認させ、"古代エジプト人は、大きな定規やコンパスなしで、どのようにして精確な測量をして正方形を作ったのか?"という疑問へと導きます。 ここで、1本の結んでないひもを取り出し、"このひもで、正三角形、正方形をつくるには?"という問題を出します。 生徒たちは、工夫して、ひもの長さの3等分点、4等分点を見出して、それらに近い形を作り上げます。 しかし、精確な図形を作ることはできません。

では、どうすれば・・・ということで、先生は、その全周の長さを12等分したマーク付の一本のループを取り出します。 このループを巧みに使えば、簡単に正三角形・直角三角形を作ることができます。 また、精確な角度(60°、30°、45°、90°)も作れるので、これを発展させれば、正方形や正六角形、それに、十文字も作れます。 単に、一本のひもを輪(12等分点付)にしただけで、すごい‘パワー’を発揮するのです。

最後に、校庭で 48mの同様のループを用いて、大きな正方形や正三角形、正六角形、その組み合わせ、さらに、円と正方形を組み合わせた前方後円墳を作り、出来上がった形を校舎の屋上から眺めます。 この授業を通じて、生徒たちに数学的思考法の生み出す感動、さらには一つのことを成し遂げる仕事・労働の感動を体験させています。

古代人は ひもを用いて測量した とは思いますが、ここで紹介されたようなループを用いたかどうかは明らかではありません。 しかしながら、亀井先生の素晴らしい授業を見ていると、それが事実であったかのような思いにとらわれ、古代のロマンをも感じさせます。

今回は、「あやとり」の話ではありません。 しかしながら、この授業から、一本のループのもつ魔法の力と言いますか、不思議な魅力を十分に感じさせられましたので、ここで取り上げました。  なお、ループで立体図形を作る試みについては、 あやとりダンス を参照ください。

また、海外には「あやとり」そのものを数学教育に取り入れている先生がいます。 ISFA会員 James R. Murphy さんは、ニューヨークのハイスクール(Fiorella H. LaGuardia High School for Music & Art and Performing Arts)の数学教師。 20年以上前から、数学嫌いの生徒たちに、数学の体系的・論理的思考法を身につけさせる方法として、「あやとり」を取り入れた授業をしています。 詳しくは、ISFA会報をご覧下さい (* 2)。 また、国内では 山川和康氏の試みがあります ⇒  あやとりと数学教育 。 

他にも、数学に限らず、「あやとりを授業に取り入れている」という情報があれば、このサイトまで ご連絡下さい。


(* 1) 4月21日(AM 02:25-02:50)に再放送があります。 NHK番組表(教育TV 4月20日)の「わくわく授業〜わたしの教え方」をクリックすれば、内容紹介ページが開きます。

(* 2) J. R. Murphy "Using String Figures to Teach Math Skills - Part 1-6" (cf.Table of Contents - Volume 4 (1997)、Volume 5 (1998)、Volume 6 (1999)、Volume 7 (2000)、Volume 8 (2001)、Volume 9 (2002))。

(TS)

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093  「橋りょう鋼けた架設工事」のあやとり (04/13/2004)

現在、東京都新交通建設事務所が、首都高速道 夜間通行止の広告を出しています。 「新交通 日暮里・舎人線 荒川横断橋りょう鋼けた架設工事」のため、この4月17,18,26日の夜間に、扇大橋ー千住新橋間を、夜間通行止めにしますという予告。 今週発売の『週刊ポスト』(2004/4.23: p.130) に載っていました。 その一ページ広告では、橋りょう工事を背景に、吉岡美穂さんが 微笑みながら あやとりをしています。

広告でのあやとりの使い方にも いろいろありますが、これは珍しく、あやとりのパターンそのものを見せることにも力点があるようです。 吉岡さんの両手の間には、橋梁鋼桁架設工事にふさわしく、大きな橋桁が見えています。 これは、私にとっては初めて見るパターンです。 全く、勉強が足りないといいますか、あやとりの奥深さを感じます。 どなたか、この取り方がわかりませんでしょうか。 お教えいただきたいものです。

(TS)

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092 WinKnot −3 (「はしご」について Q & A - 3)  (04/03/2004)


WinKnot による、あやとりの「はしご」の解析の話題を続けます。 「すべて絡みのはしご」を、1本のループで作る場合、両端(一端)の糸の走り方が基本形ではなくなることを述べました ⇒
トピックス 090。 それでは、両端とも基本形にする方法は、ないものでしょうか。 その解決方法はあるのですが、ただし2本のループを必要とします (* 1)。

 
(1)   (4)
 
(2)   (5)
 
(3)   (6)

‘リンクしていない2本ループ’(1) を用いると、両端とも基本形の「すべて絡みのはしご」を作ることができます。 ただし、奇数段だけです (2, 3)。 偶数段にするには、‘リンクされた2本ループ’ (4) から始めねばなりません (5, 6)

   

また、「すべて交わりのはしご」についてですが、1本ループで作る場合、「すべて交わりのはしご」は、偶数段のものができます ⇒ トピックス 090。 奇数段のパターンは、‘リンクしていない2本ループ’から始めます (7)

(7)

図示したのは、WinKnot で描いたパターンの例です。 このように、WinKnot は複数ループも扱えます。 もちろん、絡みの不変量:べき乗の和として表現するジョーンズ多項式 (* 2):を計算することができます。 さて、‘リンクしていない2本ループ’は「自明の絡み目(trivial link)」と呼ばれ、そのジョーンズ多項式 の量は −t1/2−t−1/2 となります。 また、‘リンクされた2本ループ’は「ホップの絡み目(Hopf link)」、その量は −t5/2−t1/2 となります。 図示したパターンをWinKnotで計算させますと、(1, 2, 3, 7) は前者、(4, 5, 6) は後者の値となるのです!! 自明の結び目(trivial knot)のジョーンズ多項式が 1 となることをあわせ、本当に感動的なソフトです。

(* 1) 作り方については、「はしごについてQ & A」 引用文献を参照ください。

(* 2) 和達 三樹 (2002)「結び目と統計力学」(岩波講座物理の世界 −物理と数理 2 )、岩波書店


ところで、下図は、(4) の二つのループの交点の上下を逆にしたパターンです。 一方のループを、こちらあるいは向こうに180度回転させれば変換できる同じ「ホップの絡み目」です。 このパターンを WinKnot で計算させますと、−t(−1/2)−t(−5/2)となります。 しかし、これは −t(−1/2)−t(−5/2)=−t(−5/2)(t+1) であり、(4) は−t(5/2)−t(1/2) =−t(1/2)(t+1)となり、べき乗の和として同じ因子となるので、独立のものではないと考えればよいのでしょうか。 また、どちらのループを先に描くかによっても同じ問題が生じます。 これは、‘リンクしていない2本のループ’では生じない問題です。 WinKnot のアルゴリズムの問題でしょうか。 専門家の方のご教示をお願いします。

〔追記  2004/4/13〕 
《 知恵の糸 》 の 「あやとりBBS」で、H氏からご説明をいただきました。

ジョーンズ多項式というのは、"「向きのついた絡み目」に対する不変量" とのことです。 絡み目の向きを表示させるには、WinKnot の [表示]−[結び目の向きの表示] を選択します。 左図のように、同じ絡み目でも、その一部の向きが逆であれば、値が変わることがある とのことです。 

左図の場合、同じ絡み目ながら、下方のループの向きが逆なので、(a) は −t(−1/2)−t(−5/2)となり、(b) は −t5/2−t1/2 と不変量は異なります。 なお、(4, 5, 6) (b) と同じ絡み目となります。

どうもありがとうございました。

(a)
(b)

(TS)

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〔追 記 03/21/2005〕

あそびをせんとや  3月18日−20日:「結び目」の話題で、当サイトに WinKnot についての記事のあることを紹介していただきました。 ありがとうございます。 また、あやとり関連ソフトに興味をお持ちの方は、トピックス 119 もご覧下さい。

(Ys)

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091  デイリーポータル Z  (03/27/2004)

去る20日に 《
@nifty デイリーポータル Z 》 の TOPICS で「世界のあやとり」のページが紹介されました。 “水飲み場」「赤ん坊が生まれる」「冥界」など、感心してしまうネタの数々。 あやとりがこんなに想像力豊かなものだったとは”。

この気のきいた一行コメントに引きつけられた方も多かったようです。 おかげさまで、そのページへのアクセス数が、20日からの3日間で 7,440 回と、当サイトにとっては記録的な数字となりました (* 1)。 このようなマイナーなサイトを発見して取り上げていただいた 担当の Y さんにお礼申し上げます。

(* 1) 「世界のあやとり」への週間アクセス数(8日−14日): 365 回。

(TS & Ys)

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Last updated  07/12/2004