《さいとうたま あやとりコレクション》 この「はじめのかたち」にも伝承の呼び名があります。山形・山辺町大蕨では中指型で「女アヤ」。この珍しい名称は、二人アヤトリのはじめの形 (右図) を「男アヤ」と呼ぶことと対をなしています。同じ呼び方は、茨城・鉾田町借宿、栃木・茂木町千本でも聞かれました。
二人あやとりの「川」 (右図) と対をなす名称もあります。京都・京北町、明治37年生まれのおばあさんから聞いた「大川」: (人差指型);二人あやとりの「川」は「小川 こかわ」。同じように、「はじめのかたち」を「大きい川」(中指型)/二人あやとりの「川」を「小さい川」と呼んだおばあさんもいました (京都・日吉町)。
ほかにも、
「山」: (中指型) 岡山・勝北S.K.さん (明治40年生)、三重・伊賀; (人差指型) 山口・錦、兵庫・姫路、夢前など。
「風呂敷」: (人差指型) 兵庫・波賀。
「広小路」: (中指型) 京都・福知山のH.M.さん (昭和25年生)。「広小路」は福知山市内の通りの名前らしい。
このかたちから始めるあやとりは、世界各地にあります。近年まで海外の研究者は〈日本は「中指型」の地域〉と考えていたようです。しかし、さいとうさんの全国調査によって、「人差指型」の地方もあることが明らかになりました。
この「はじめのかたち」だけでなく、「二人あやとり」のはじめ方や「ほうき」の取り方も 一通りではありません。地方によって違いがあるのです。《さいとうたま あやとりコレクション》のデータからは、東日本 (とくに東北地方) と、西日本 (とくに九州南部地方) のあやとりのレパートリーや取り方の違いが際立っています。
皆さんは、「中指型」・「人差指型」どちらから始めますか?「ほうき」はどのような取り方をしますか?このようなデータをさらに集めれば、私たちのあやとりの由来について何か知ることができるかもしれません。今は、全国各地を歩き回らなくても、インターネットで情報を集めることもできましょう。《知恵の糸》サイトでは、「鉄橋」あやとりについて調べています → アンケート (かめ→ゴム→飛行機)。皆さんもデータの収集・分析をしてみてはいかがですか。