ここでは、ネット上にあるあやとりの映像を紹介しています。
「80の糸で世界をめぐる」という2020年から毎年チリで催されているあやとりフェスティバルの動画集です。この催しは地理的にチリで行なわれているわけではなく、ネット上で行なわれ、どなたでも参加することができます。
世界中で非常に多くの人々があやとりを楽しんでいることに驚くことでしょう。さらに、取られているあやとりが極めて魅力的で刺激的なことにも目を見張ることでしょう。日本あやとり協会の設立時から会員となられている Philip Noble氏も参加されています。
日本わらべうた協会のホームページにて掲載されている、あやとりのわらべうたの動画です。あやとりのわらべうたは、右のメニューの手遊びうたに、「ぶんぶくちゃがま」「いとひけぶんぶん」「およめさんあげるから」があります。 現在は閲覧できません
民族数学者の Eric Vandendriessche 氏が、2012にパプアニューギニアのトロブリアンド島民の調査を行ったときの映像です。彼は、あやとりが数学的に解析できることを示すのを目指して研究を行っています。現地では、あやとりは「カニニクラ Kaninikula」と呼ばれています。
オーストラリア・ノーザンテリトリーの先住民女性の作るあやとり:「ウミガメ」、「オオトカゲ」、「オーストラリアツル」、「ナガクビガメ」;2人の少女が作る「ウミガメ」。アーネムランド・イルッカラ地方のあやとりについては トピックス 174 をご覧下さい。
オーストラリアの《National Film & Sound Archive》のサイトで公開されているこの映像クリップは、1921年に Frank Hurley が撮影した ‘冒険映画’「Pearls and Savages 真珠と未開人」の一部です。商業目的 (映画館で一般公開) で制作された全編56分のこのサイレント映画は、1979年に民族学的記録としての価値がある資料として復元されました。オーストラリア大陸とニューギニア島の間に点在するトレス海峡諸島の木曜島、マレ島、ココナツ島、ダーンレイ島、マビアグ島とパプアニューギニアの当時の自然と人々の生活風景を見ることができます。なお、タイトルの「真珠」は当時有名だった木曜島の真珠貝採取のことです。明治時代、日本人ダイバーがこの島へ出稼ぎに行っていたことは司馬遼太郎の『木曜島の夜会』で広く知られるようになりました。
この映像クリップに、マレ島 (Murray Island) の島民があやとりをしている場面があります。裸足で暮らしていた人々は、この男性のようにあやとりを作るのに足指や膝を使うことは珍しいことではありませんでした。
カナダ自然博物館の《Ukaliq - the Arctic Hare》のサイトには、カナダ・ヌナヴト準州、ランキン入江地方のイヌイット長老が作る「ホッキョクウサギ (Ukaliq)」の動画があります。
《GESCHIEDENIS 24》のサイトに、たいへん興味深い〈あやとり〉の記録映像があります。この映像 (12分、カラー) には、1956年当時のオランダ領ニューギニア (ニューギニア島の西半分) の3つの地方の自然や生活風景が撮影されています。 《GESCHIEDENIS 24》のページの右上にある「AUDIO VIDEO」の「Primitief Nieuw-Guinea Merkwaardige adat gebruiken 1956」をクリック。 《GESCHIEDENIS 24》のサイトは見当たりません。このビデオは、YouTubeで閲覧できます。
あやとりが見られるのはパート2 (冒頭から 4’15~08’33)、ニューギニア島の最西端バードヘッド半島の内陸部に暮らすマイブラト (Mejbrat / Maybrat / Ayamaru) の人々の生活風景の一場面。マイブラトの若い男女がそれぞれ長い列に並び、互いに向かい合って〈あやとりのやりとり〉をしています (7’20 から約30秒間)。
ネット上でこの映像を見つけたオランダのISFA会員によれば、そのナレーションでは「あやとりが始まる。それは、しばしば結婚に結びつく仲介である。少女と少年は互いにあやとりを受け渡す。あやとり一つ一つには作り手のある思いが表現されていて、からかい・ねだりから真剣な気持ちまでさまざまな思いが込められている」といった意味のことが述べられています。東南アジアの一部には、祭りの日などに若い男女が結婚したい相手と互いに歌を交わして気持ちを確かめ合う「歌垣 (うたがき)」という古来の風習が今も残っていますが、この〈あやとりのやりとり〉にも何かそれを想起させるものが感じられます。
マイブラトの人々は1950年代後半に急速に新しい文化 (とくに衣服関係) を取り入れたので、この映像に見られる伝統的な風習としての〈あやとりのやりとり〉も、その後まもなく滅びたと思われます。これはたいへん貴重な記録映像といえましょう。なお、現在、ニューギニア島の西半分はインドネシアに属しています。
《Povos indigenas no Brasil (ブラジル先住民族の人々)》のサイトに、カラパロの男性があやとりをしている動画があります。カラパロ (the Kalapalo) は、ブラジル中部マトグロッソ州シングー先住民居住地で暮らしている、人口わずか326人 (1995年) の少数民族です (『世界民族事典』弘文館 2000)。
カラパロは、ブリチヤシの乾燥させた葉からあやとり紐を作ります。あやとりは「Ketinho Mitselu」と呼ばれ、大人は難しい取り方の、子どもは易しいあやとりを楽しんでいます。でき上がりの形は、動物や神話・伝説の登場人物、そして日々の生活の道具や行為などに見立てられています。
動画の前半は、年配者が若い男女に、カモメや魚のあやとりがあることを話したり、互いに知らないあやとりを教え合うことを勧めたりしています。後半が本題のあやとりパフォーマンスです:二人の男性がそれぞれにある形を作った後、画面左側の男が見せているのが「カモメ (gaivota)」、鳴き声を真似ながら作っています。次に右側の男が作ったのは「魚 (peixe)」、続いて左男の作っているのは「アイスポットシクリッド (tucunare)」と呼ばれるカワスズメ科の魚。第三の男が現れ何やら言った後に写っている形 (日本では「カエル」などと呼ばれている形) は名称不明。次に右男の作ったのは「?(mandi)」、最後に左男が「コウモリ (morcego)」を作り、パターンを縦にしてコウモリが木にぶら下がってるところを見せています。
ISFA会員デヴィッド・キタク・ニコライ (David “Kitaq” Nicolai) さんのあやとりパフォーマンスが、動画で公開されています。2010年3月2日、アンカレッジのワイルド・ベリー・シアターで開かれたイベントからの映像の一部です。
ニコライさんは、『世界あやとり紀行 —精霊の遊戯—』や「神秘の紐 あやとりがつなぐ世界」(『日経マガジン 40号』) でも紹介された、アラスカ先住民ユッピクの伝承あやとりの継承者。アラスカでは、昔から伝承されてきた物語を伴うあやとりを作れる人は、もう4人しか残っていないそうです。
「のこぎり」とその遊び唄が再現されています。十字形の四つの輪を引き合いながら歌うあやとりは各地に見られます。とくに九州地方からはいろいろな唄が採集されていますが、この「おがどんな」はこれまでの調査記録 (さいとうたまコレクションなど) にはありません。ISFAでは、このような伝承あやとり唄を探しています。ご存知の方は、当サイトまでご連絡下さい。
以下のトピックスにも動画の紹介があります。