Last updated: 2026/08/01

あやとりトピックス 281-290

「息継ぎをするあざらし」「鯨の潮吹き」 2026/08/01

トピックス 196 に「極北圏のあやとりイベント」の記事があります。そのイベントで、あやとりの記録映画(*1)が上映されました。その9分ほどの短編映画は、1974年にドイツの民俗学者 C. Adler がグリーンランド北西部のケケタット(Qeqertat)の3人のイヌイットを記録したもので、23のあやとりとトリックが含まれています。そこで取られているあやとりの解説記事が、BISFA-22にあります。

cited from E2314 (*1)

ここでは、この映像の中にある「息継ぎをするあざらし」と「鯨の潮吹き」を紹介します。いずれもリズミカルな動きのあるあやとりです。「息継ぎをするあざらし」は、あざらしが息継ぎをしに水面に顔を出す様子を、「鯨の潮吹き」は、鯨が水面に浮上して潮吹きをする様子を表しています。これらは T. T. Paterson がグリーランドのヨーク岬(Cape York)で採集したものです(*2)。Paterson のコレクションは「極北圏のあやとり」プロジェクト(*3)のひとつで、昨年ようやくBISFA-32にまとめられました。

息継ぎをするあざらし : cited from (*2)
鯨の潮吹き : cited from (*2)

「鯨の潮吹き」の動きは、クワクワカワク(Kwakwaka'wakw)の「くしゃみ(*4)」に似ていますが、できあがりがずっと安定しています。 静止画では魅力が十分に伝わらないので、動画を作成しました。

息継ぎをするあざらし
鯨の潮吹き
(*1) C. Adler (1974) "E2314 : Polar-Eskimo (Nordgrönland, Thule-Distrikt) Fadenspiele"
(*2) T. T. Paterson (1949) "Eskimo String Figures and Their Origin"
(*3) 「極北圏のあやとり」プロジェクト
(*4) ISFA (1996) "Sneezing : String Figure Magazine Vol.1, Mar"
k16@ISFA

第39回野口廣記念あやとり講習会・検定報告 2026/07/23

「第39回野口廣記念あやとり講習会・検定」は2026年6月27日(土)に東京代々木のオリンピックセンター、センター棟416号室で開催される予定でした。

ところが開催の2~3日前から台風7号と8号が日本列島に接近していて、気象庁のニュースでは丁度「6月27日頃二つの台風が関東地方で合流して、猛烈な突風と豪雨になるから充分に注意するように。」という警報が出されました。そして開催2日前には関東地方で震度4の地震もあり、1週間ほどは余震があるかもしれない。というニュースも流れました。私達あやとり講習会の主催者は、会を延期するかどうか迷いましたが、やはり参加者の方々の安全第一を考えて延期に踏み切りました。すぐに次回の会場探しにオリンピックセンターの空室情報を見ると、7月は土曜日の午後の時間帯に80人室一室だけが辛うじて空いていました。延期となった7月18日は「照りもせず降りもせず」の好天気で、猛暑からも守られ、結果として和気あいあいとした楽しい会になりました。参加できなかった方々は残念でしたが、次回はぜひ参加できますようお待ちしています。

【あやとり講習会】

講習会は司会者による開会の挨拶に続いて、今日指導して下さるあやとりを指導員の方々が実演して下さいました。最初は初めてあやとりを学ぶ方たちのために、とり方が簡単で楽しい初級のあやとりを2人の先生方に選んでいただきました。「ねずみの顔」を教えてくださるのは小学1年生でグランドマスターを取得された本田君です。あやとりはお子さんでも先生になれる素晴らしい遊びです。

続いてちょっと難しいけど完成形が素敵な中級あやとりを3人の先生が実演して下さいました。

開会の挨拶
「ねずみの顔」
「お星さま」
「テントの幕」
「たくさんの星」
「塩の家」

最後はオセアニアの雄大なあやとりや、芸術作品ともいわれる極北圏の難易度の高い上級あやとりを5人の先生方に実演していただきました。

指導員の紹介
「天の川」
「三つの星」
「ひきがえる」
「キツネとクジラ」
「そりを引くトナカイ」

講習会が始まってしばらくすると、参加者の熱意と先生方の特訓のおかげで、それぞれ覚えたいあやとりが出来上がり、あちらこちらで「できたー!」と喜びの歓声が上がりました。

「お星さま」の指導
「ねずみの顔」の指導
「七つのダイヤ」完成
「六角星」完成
「キツネとクジラ」の指導
「天の川」の指導
「天の川」の完成
「そりを引くトナカイ」の指導

【あやとり検定】

検定は、講習会後の3:30から講習会と同じ会場で行われました。

今回は受験者が少なく、時間の余裕がたっぷりあったので、特別に当日講習会で覚えたあやとりを追加で受検できることにしました。追加の検定を受けたのは4名でした。

あやとり検定の検定員は永年多くの人にあやとりを教えてこらえた方や現在もそれぞれの所であやとりの指導をされておられる方々、そしてほとんどがあやとり検定グランドマスターの資格を持っておられるベテランの先生方です。

検定ではとれたら「あやとり検定マスターチャレンジカード」に合格のスタンプを押してもらいます。今回の検定では5名の方が初級6種(2回)、中級6種(3回)、上級5種(5回)合計10回に合格して「あやとり教室指導員」の資格を取得され認定証が贈られました。

更に初級45種すべてに合格して「初級あやとりマスターの称号」を取得した人が2名、上級16種全てに合格して「上級あやとりマスター」の資格を取得した人が1名、更に初級45種、中級22種、上級16種全てに合格して「初級あやとりマスター」「中級あやとりマスター」「上級あやとりマスター」の3ケのマスターを取得して「あやとり検定グランドマスター」の称号を取得した人は2名でした。

賞状授与
初級あやとりマスター
グランドマスター
グランドマスター

今回も「楽しかった~」「またお会いしましょう」と皆さん別れを惜しみながら散会しました。

第39回野口廣記念あやとり講習会・検定スタッフ

次回の開催日は11月7日(土)を予定しています。

8月上旬に「第40回野口廣記念あやとり講習会・検定」のお知らせを「国際あやとり協会」のホームページで掲載します。あやとり検定で「あやとり教室指導員」や、「初級あやとりマスター」「中級あやとりマスター」「上級あやとりマスター」そして「あやとり検定グランドマスター」等の資格を取得したい方は「国際あやとり協会」のホームページや「改訂版あやとり大全集」「完全版あやとり大全集」「能力アップあやとり」「育脳あやとり」(いづれも主婦の友社)や「「オセアニアのあやとり①②」等の本を参考にして練習しておいてください。

参加申し込みは9月1日~9月30日(締切日厳守)です。

スタッフ一同皆様のご参加をお待ちしています。

報告:野口廣記念あやとり講習会・検定 世話人 野口とも@ISFA & 写真提供:嶋津香・青木幸久

「タマレレチのカヌー」 2026/06/16

トピックス 036に「〈あの世〉のあやとり」というニュージーランドのマオリのあやとりについての記事があります。「タマレレチのカヌー(*1)(*3)」は、そこで紹介されている「冥界」の最初に取られるあやとりです。ここでは、「タマレレチのカヌー」について紹介します。(次の図は同じ取り方のギルバート諸島のものです)

TE WA E A TIA
cited from "String-Figures from the Gilbert Islands" (*2)

タマレレチ(Tama Rereti)は、天の川を作り、空にたくさんの星をばらまいたとされる伝説の戦士です。(*4)

昔々、夜空には星がひとつも輝いていませんでした。あたりは真っ暗で、歩けば何かに躓いてしまいます。そんな暗闇に潜んでいたのは、タニホァ(Taniwha)という怪物でした。タニホァは自然の守護者としてとても力強く、闇夜になると動くものなら何でも食べ、昼間は湖底や深い川底で眠っていました。
偉大な戦士タマレレチ(Tama Rereti)は、タウポ(Taupō)という大きな湖の南の端に住んでいました。ある朝、タマレレチは、カヌーで湖に釣りに出ました。美しい穏やかな日で、魚もたくさん釣れたので、カヌーの上で昼寝をしました。彼が眠っている間にカヌーは湖の北の端まで流されて行きました。彼が目覚めたとき、カヌーが遠く流され、日暮れまでに家に帰ることができないことに気付きました。夜になるとタニホァがやって来て彼を食べてしまうだろう。空腹だった彼は、岸辺で火を焚き、魚を焼いて食べました。どうやって家に帰るか考えているとき、焚火に使った小石が光り輝いていました。
「湖を渡って帰る代わりに、空から大河に漕ぎ出そう」
タマレレチは、光る小石をたくさんカヌーに積み込み、川に向かって漕ぎ出しました。太陽が沈み、闇が降りてくると、カヌーは空に昇り、彼は光る小石を四方八方に撒き散らし始めました。カヌーの航跡は天の川となり、小石は星々となりました。タマレレチが小石をすべて投げ終える頃には、彼は空を横切って飛んでおり、夜明けの光の中で自分の村を見ることができました。そして、家に帰るとぐっすりと眠りに落ちました。
天空の父であるランギヌイ(Ranginui)は、美しく明るくなった夜に感動し、タマレレチのカヌーを夜空に永久に係留しました。

タマレレチのカヌー(Te Waka o Tamarereti)は、11月のニュージーランドで、日没直後にだけ見ることのできる星群です。地平線が天の川と一直線に並び、まるで地球が銀河に浮かぶかのようです。地平線上に見える明るい星々が、タマレレチのカヌーを形成しています。さそり座、ケンタウルス座、南十字座、りゅうこつ座、ほ座、エリダヌス座、きょしちょう座、かじき座、おおいぬ座、オリオン座、おうし座にわたる星々です。さそり座がカヌーの船首、南十字星が大きな石の錨、アケルナルがマストの先端、マゼラン雲が帆、カノープスが航海士、オリオン座の三ツ星が船尾です。(*5)

2025/11/16 18:20頃 S45°50'あたり (Stellarium)

残念ながら、日本からタマレレチのカヌーを見ることはできません。

(*1) J. C. Andersen (1927) "Māori String Figures"
(*2) H. C. & H. E. Maude (1958) "String-Figures from the Gilbert Islands"
(*3) 野口広 (1981) "図形あそびの世界"
(*4) The story of Tama Rereti より
(*5) How to find Te Waka o Tamarereti
k16@ISFA

第38回野口廣記念あやとり講習会・検定報告 2026/04/08

曇り空に時折小雨がぱらつく2026年4月4日(土)に、東京代々木のオリンピック記念青少年総合センターで「第38回野口廣記念あやとり講習会・検定」が開催されました。

会場の3F311号室の窓の外にはソメイヨシノが満開に咲き誇っていました。

満開のソメイヨシノ

【あやとり講習会】

司会者による開会の挨拶に続いて遠方からの参加者の紹介がありました。

今回も遠方からの参加者は10名程で、北は秋田市から、西は静岡県、愛知県、滋賀県、岐阜県などからも来られました。中には5~6回目という方もおられました。

続いて指導して下さるあやとりを指導員の方々が実演して下さいました。

最初は初めてあやとりを学ぶ方たちのために、取り方が簡単で楽しい初級のあやとり3人の先生方に選んでいただきました。

次に少し難しいかもしれないけれど、とれたら嬉しい素敵な中級あやとりを3種紹介していただきました。

開会の挨拶
4段ばしご
バトカ峡谷
ねずみの顔
テントの幕
ライアの花
真昼の太陽

最後はオセアニアの雄大なあやとりや、芸術作品ともいわれる極北圏の難易度の高い上級あやとりを10人の先生方に選んでいただきました。

お守り
小舟~かに
天の川
テリハボクの花
キジカッコウ
白鳥
耳の大きな犬
ダンスハウスで踊る人々
つがいのライチョウ
キツネとクジラ

講習会が始まってしばらくすると、参加者の熱意と先生方の特訓のおかげで、それぞれ覚えたいあやとりが出来上がり、あちらこちらで「できたー!」と喜びの歓声が上がりました。

かに
ねずみの顔
できた!
真昼の太陽
ナバホの蝶
2匹の子鹿
ライアの花
お守り
小舟~かに
つがいのライチョウ
キツネとクジラ

【あやとり検定】

講習会終了後、3:10から同じ会場で「あやとり検定」が行われました。

検定ではとれたら「あやとり検定マスターチャレンジカード」にスタンプを押してもらいます。

今回の検定では5名の方が初級6種(2回)、中級6種(3回)、上級5種(5回)合計10回に合格して「あやとり教室指導員」の資格を取得され認定証が贈られました。

更に初級45種すべてに合格して「初級あやとりマスターの称号」を取得した人が1名、初級45種、中級22種、上級16種全てに合格して「初級あやとりマスター」「中級あやとりマスター」「上級あやとりマスター」の3つのマスターを取得して「あやとり検定グランドマスター」の称号を取得した人は2名でした。皆さんよく頑張っていますね。「グランドマスター」を取得した人には認定証と一緒に素敵な限定バッジも贈られました。

賞状授与
「初級あやとりマスター」
「あやとり検定グランドマスター」
岐阜県から6回も通って「グランドマスター」を取得したお子さんと

参加者の皆さんは「楽しかった~」「またお会いしましょう」と別れを惜しみながら三々五々解散しました。

売店
第38回野口廣記念あやとり講習会・検定スタッフ

次回の開催日は 6月27日(土)を予定しています。4月上旬に「第39回野口廣記念あやとり講習会・検定」のお知らせを「国際あやとり協会」のホームページで掲載します。

参加申し込みは 5月1日~5月31日(締切日厳守)です。皆様のご参加をお待ちしています。

報告:野口廣記念あやとり講習会・検定 世話人 野口とも@ISFA & 写真提供:嶋津香・青木幸久