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あやとりの絵画などの芸術作品

ここでは、あやとりに関係する絵画、版画、彫像などの芸術作品を紹介しています。

絵本大和童 (ゑほんやまとわらんべ) 三巻三冊

西川祐信 画
京都書林 菊屋喜兵衛
享保九年 1724
複製本:[肥田氏所蔵本] 近世日本風俗絵本集成
臨川書店、京都
1979

上巻十丁ウラ~十一丁オモテ にあやとりの絵があります。
上巻は、四季折々の上方 (京、大坂) の子どもの行事と遊びを十二枚の見開きページに描く。九月は重陽の節供、菊の花遊びする子どものかたわらで、二人の女の子が「いととり」に夢中。この墨刷木版絵本があやとり遊びを描いた最古の視覚的文献資料です。 トピックス 074

Ys

上記複製本の複写画像を掲載しました。 トピックス 237

加藤直樹@ISFA

絵本十寸鏡 (ゑほんますかがみ) 三巻三冊

西川祐信 画
京都書林 菊屋喜兵衛
延享五年 1748
複製本
近世日本風俗絵本集成
臨川書店、京都
1979

上巻三丁ウラ~四丁オモテ にあやとりの絵があります。

Ys

小紋雅話

山東京伝 作・画
寛政ニ年 1790
蔦屋、江戸
復刻本
谷峯蔵 解説
遊びのデザイン—小紋雅話 pp.44, pp.156-157
岩崎美術社
1984

あやとり

鈴木春信 (無落款)
多色摺木版画 (中判錦絵)
東京国立博物館、シカゴ美術館、メトロポリタン美術館 蔵
明和四、五年頃 1767-8
所収 [1]:青春の浮世絵師 鈴木春信 — 江戸のカラリスト登場〈図録〉 pp.218
監修:小林忠
編集・発行:千葉市美術館、山口県立萩美術館、浦上記念館
2002
所収 [2]:浮世絵に見る江戸の一日 pp.32
監修:佐藤要人、高橋雅夫
編:藤原千恵子
河出書房新社
1996

春信が他の絵師の作品から図柄を借用していること;借用元として一番多いのは西川祐信の作品であることは研究者の間では周知の事実だそうです (小林忠「青春の画家 鈴木春信」:上記 [1] pp.010)。この錦絵の「二人あやとり」の図柄も、祐信の絵本から ‘頂戴した’ ように見えます。糸を取り合う二人の両手の位置、糸の掛かり方は、『絵本大和童』の描画とそっくり同じ。ただ、手首から指先 (とくに小指) にかけての繊細なタッチは春信そのもの。作品全体も祐信筆とは全く趣の異なる仕上りになっています。

Ys

童子遊興之図

作者未詳
肉筆画帖
江戸中期
くもん子ども研究所 蔵
所収:遊べや遊べ!子ども浮世絵展〈図録〉
編集:くもん子ども研究所、NHKプロモーション
発行:NHKプロモーション
2003
所収:江戸子ども百景 (公文浮世絵コレクション)
小林忠
河出書房新社
2008

西川祐信『絵本大和童』上巻を彩色模写 トピックス 074

風流おさな遊び

歌川広重 画
多色摺木版画 大判
くもん子ども研究所 蔵
天保年間 1830-43
所収:浮世絵の子どもたち〈図録〉
監修:稲垣進一、上笙一郎、黒田日出男
東武美術館
1994
所収:遊べや遊べ!子ども浮世絵展〈図録〉
編集:くもん子ども研究所、NHKプロモーション
発行:NHKプロモーション
2003
所収:江戸子ども百景 (公文浮世絵コレクション)
小林忠
河出書房新社
2008

おさな遊び正月双六

歌川広重 画
多色摺木版画 大判
くもん子ども研究所 蔵
天保~弘化年間 1830-1847
所収:浮世絵の子どもたち〈図録〉
監修:稲垣進一、上笙一郎、黒田日出男
東武美術館
1994

四季遊び 秋冬の部

楊洲周延 [ようしゅうちかのぶ] 画
多色摺木版画 大判三枚続
くもん子ども研究所 蔵
明治初期 ca.1870s
所収:浮世絵の子どもたち〈図録〉
監修:稲垣進一、上笙一郎、黒田日出男
東武美術館
1994

東風俗福つくし 子福者

楊洲周延 画
多色摺木版画 大判
くもん子ども研究所他 蔵
明治二十三年 1890
所収:浮世絵の子どもたち〈図録〉
監修:稲垣進一、上笙一郎、黒田日出男
東武美術館
1994
所収:近世子ども文化を探る 浮世絵ー子ども絵百選展〈図録〉
浮世絵春秋18号
ばれんの会 編
1998

東都 子供あそびの図 — 綾とり

小林 (鮮斎) 永濯 [えいたく] 画
彩色刷木版画
所収:古今百風 吾妻餘波 (あづまのなごり) 壱編三十一
岡本昆石 編
森戸錫太郎 蔵版
明治十八年 1885
複製本:吾妻のなごり
国際貿易観光協会
1959
所収:浮世絵に見る江戸の子どもたち pp.218 モノクロ
くもん子ども研究所 編
小学館
2000

綾とり・吹き玉

宮川春汀 画
所収:女児の遊び
木版画彩色刷絵本
大黒屋松木平吉 蔵版
明治中期 1900-1910
所収:傑作画集成 — 明治のこども遊び pp.54 モノクロ
山本駿次郎 編
国書刊行会
1990

大黒屋は江戸中期に開業した有名な絵草紙屋。『女児の遊び』は、その五代目松木平吉が彫・摺に最高の技術を結集した豪華絵本だそうです (上記所収本 山本氏の解説より)。春汀については、柳田國男との奇縁話が面白い (岡田善広「黒潮文化とやしの実」)。なお、「綾とり・吹き玉」のカラー画像を公開しているページがあります。[宮川春汀 こども遊] からお調べ下さい。

Ys 2006/07/09

アヤトリ

名和永年 [えいねん] 画
大阪国際児童文学館 蔵
所収:幼年画報 3巻5号 pp.14
博文館
明治四十一年 1908

和服の女の子二人が正座して、あやとりを取り合う。添えられた文章が面白い。

「…女ノ子ワオウキクナルト、裁縫ヤ刺繍ヲ覚エナケレバナリマセンカラ、チイサイウチカラ、綾トリノヨウナ遊ビヲスルノガヨロシウゴザイマス」
Ys 2008/04/03

二少女 Two Girls

安田靫彦 画
絹彩軸 117.3×86.0
東京国立博物館 蔵
1922
所収:特別展 安田靫彦 — その人と芸術-〈図録〉
山種美術館
1982

お行儀よく座って「ふたりあやとり」を楽しむ二少女。一見能面のような女の子の表情には、仲良しの子と「あやとり」をしている喜びが感じられる。この画伯には珍しい同時代の少女を描いた第九回院展 (1922/9) 出品作。上記図録の「略年譜」には、1919年 (35才) 結婚、翌年3月長女誕生とあります。父親目線で眺めてみれば、ありふれた情景もまた新鮮。そのあたりに作画の動機があったのかもしれません。

Ys 2005/11/27

アヤトリ

岩岡とも枝 画
大阪国際児童文学館 蔵
所収:コドモノクニ 7巻4号 pp.6-7
東京社
1928

ちょっとおしゃれな洋服姿の女の子が、ひざを突き合わせてあやを取り合う (「ふね」から「つづみ」へ)。上品な会話調の文章が添えられている。

Ys 2008/04/03

綾とり

多田北烏 [ほくう] 画
大阪国際児童文学館 蔵
所収:少女倶楽部 11巻2号 表紙絵
大日本雄弁会講談社
1933

振袖姿の姉妹-姉はモダンな椅子に腰を掛け、そばに立つ妹の手にあるアヤを取り上げている。雑誌タイトルを含む全体の構成は、ポスターデザインの先駆者である多田北烏 (1889~1948) ならではと言えましょう。

Ys 2008/04/03

あやとり

川島はるよ 画
大阪国際児童文学館 蔵
所収:コドモノクニ 14巻4号 pp.20-21
東京社
1935

川島はるよ (1911-?) は、戦後も多くの挿絵を描いた童画家。エプロンを付けた二人の幼い女の子がお座りしてあやとりを取り合っているのを、後ろから犬を抱いた弟が覗いている構図。折井千一の童謡 (あやとり) に添えられたこの絵は、当時の子どもの服装や髪型をそのままに描いた風俗資料でもある。

Ys 2008/04/03

アヤトリ

海老原喜之助 画
大阪国際児童文学館 蔵
所収:コドモノクニ 18巻11号 pp.12-13
東京社
1939

あやとりをする少女ふたりの上半身が描かれたデッサン。

Ys 2008/04/03

無題

仲田好江 画
所収:ことばの贈物 岩波文庫・別冊 pp.177 にカット絵として掲載
岩波文庫編集部 編
岩波書店
1986

仲田好江は小出楢重、安井曾太郎に師事した洋画家。ラフなスケッチなれど、あやとりしている女性の表情には味がある。

情報提供者の ‘K美術館' さんに感謝 Ys 2010/08/07

あやとり

谷内六郎 画
所収:谷内六郎展覧会 秋 pp.16-17
新潮文庫 (1982出版)
1956

やわらかな秋の日差しを受け、建物の入口あたりに座り込んで糸を取り合う女の子二人。『週刊新潮』(昭和31年9月24日号) の表紙絵です。 なお、「あやとり」と題する〈表紙の言葉〉、その文章にある「一かけニかけ三かけて…」で始まる遊びは「あやとり」とは関係ありません。昔の子ども遊びに詳しい方にお尋ねしたところ、この手遊びは全国に広がっていたとのこと。手の打ち合わせ方や合間の所作、終わり方にはその土地土地でいろいろと変化があったそうです。

情報提供者の ‘K美術館' さんに感謝 Ys 2005/11/27

あやとり

加太こうじ 著;滝平二郎 挿絵
所収:こどもの四季 (らんぷの本) pp.36-37
河出書房新社
1972 (2000再刊本)

まりつき、チャンバラごっこ、竹とんぼ、地蔵盆、えんにち、駄菓子屋、べいごま、めんこ…。昭和40年頃までの懐かしい遊びの数々を、滝平二郎の切り絵と加太こうじの文章で紹介した好著。あやとりの項、「ほんの一本のひもでする遊びだが、そこには、ゆたかな空想と技術と対話と歌がある。」

Ys 2012/03/27

〈無題〉

宇野亞喜良 画
所収:母の友 1964年9月号 表紙
福音館書店
1964

あやとりをする少女と猫が描かれています。

〈無題〉

林静一 画
所収:儚夢 (ろまん)
幻燈社
1971

〈無題〉

林静一 画
所収:化子 (けし)
北冬書房
1973
情報提供者の ‘K美術館' さんに感謝

〈無題〉(あやとりをする少女)

林静一 画
所収:寺山修司少女詩集 カバー絵
角川文庫
1981

この詩集は今も同じカバーの文庫で版を重ねています — 改版15版 (2001)。

2005/02刊行の改訂版からカバーが変わりました。

Ys 2005/11/06

林静一 画
所収:童の四季
1992
所収:おんなたち~その美・童心・こいごころ、林静一・叙情の世界展〈図録〉
読売新聞社
1995

秋の野原一人であやとりする女の子、それに見入る弟、二人の表情がいい。

Ys 2006/03/18

あやとり

久下貴史 画
所収:月刊 ねこ新聞 7月号 表紙
2008

ニューヨーク在住の画家久下貴史氏の版画「あやとり」です。〈ねこ新聞〉のサイトで見ることができます。

「山藤章二の似顔絵塾」での氏の作風は、かなりクリティカルな感じを受けるのですが、猫に対しては、無限の愛情を捧げておられるようです。猫が毛糸玉 (や毬) と戯れるというのは、よくある構図です。この作品では、猫があやとり糸と戯れています。4本足で奮闘しています。人間があやとりをする場合、足の利用はあやとり糸の一部を抑えるとかするぐらいです。うらやましい限りです。

情報提供者の ‘K美術館' さんに感謝 TS 2008/07/24

〈ジャック・デリダ〉

原画所蔵者不明
所収:現代思想 デリダ読本 臨時増刊号 (vol.10-3) 表紙作品
青土社
1982

〈両手に糸を絡め「あやとり」をしているジャック・デリダ〉を描いた似顔絵イラストの傑作。この時期のデリダ思想のキーワードは “デコンストラクション (解体と再構築、その限りなきくり返し)”。あやとりもまた、‘かたち’ を作っては解 (ほど) き ‘無’ に戻す、そのくり返しである。この表紙絵についての編集人T氏のコメント (巻頭の「デリダ読本—処方箋」)が面白い。

Ys

〈表題不明 (あやとりをする少女)〉

味戸ケイコ 画
所収:魂の声 リストカットの少女たち — 私も「リスカ」だった カバー絵
小国綾子 著
講談社
2005

あやとりをする少女のイラストが表紙になっています。本文中に「あやとり」はなく、少女たちの孤独な心の象徴として描かれている様です。

K.K.

あやとり

味戸ケイコ 画
鉛筆画 pencil sketch、64×44cm
K美術館 蔵
1997

K美術館》のサイトで作品画像が公開されています (作品・2のページ)。‘心’ の崩壊の危機に直面している少女。「あやとり」は、時として、少女を守る ‘結界’ となるのではないでしょうか — その ‘心’ の再生への機が熟するまで…。下記のメルサド・ベルベルの作品画像も合わせてご覧下さい。 K美術館は閉館しました

Ys 2005/07/29

わすれなぐさ

味戸ケイコ 画
鉛筆+アクリル pencil+acryloc、27×40cm
K美術館 蔵
1979

作品画像は《K美術館》のサイト (作品・1のページ) にあります。 K美術館は閉館しました

Ys 2005/07/29

〈イラスト:君繋ファイブエム — 歌詞カード〉

中村佑介 画
2003

「君繋ファイブエム」は ASIAN KUNG-FU GENERATION の最初のフルアルバム (Ki/oon Records, JDC CD KSCL-629)。

収録曲のイメージを「あやとり」で描いた美しい色使いのイラストの数々。巷に出回るあやとり本に欠けているのは、この想像力です。氏があやとり本を作れば、「あやとり」に対する世間一般の見方がかなり変るのではないでしょうか。

情報提供者 G.A さんに感謝 Ys 2006/04/29)

異次元への窓、連想の糸 中村佑介の絵画とアジアン・カンフー・ジェネレーション

松井みどり 著
所収:ユリイカ2010年2月臨時増刊号 総特集=中村佑介 イロヅク乙女ノユートピア vol.42-3 pp.42-55
青土社
2010

そのまま引用しておきます。「『君繋ファイブエム』の歌詞ページでは、自我崩壊の危機から希望への飛翔というテーマの展開が、中村による、綾取りの紐が描き出す様々なイメージを通して補強される」(pp.48)

Ys 2010/04/27

あやとり・くさいろの

手塚愛子 画
油絵 15号 65.2×53.0cm
京都銀行 蔵
2002?

作品画像は《京都銀行 美術研究支援制度》のページにあります。

Fragile Surface – Cat's Cradle

手塚愛子 画
布に刺繍 33×33cm
2009

作品画像は《Tokyo Artwriters》のページにあります。このサイトは存在しません

Ys 2011/04/05

次のサイトで画像が見れます。 落ちる絵 (あやとり 1)
このあやとりは、ナウルの「エイゲメアング」の最後を小さいアムワンギヨで取ったもののようです。

k16 2020/11/18

あの子は、あやとり…

はまのゆか 画
所収:みーつけた 朝日新聞 (関西版) 2/15夕刊「関西PLUSキッズ」面
2006

はまのゆかさんのサイトは こちら

Ys 2006/03/11

「あやとり」練習中

ちばみなこ 画
水彩 100×150mm
2006

ポストカードのために描かれた、楽しい気分をもたらす絵。ちばみなこさんのサイトは こちら。この作品画像は、topics → ちばみなこのブログ → 2006年10月13日 のページにあります。

Ys 2008/04/03

Cat's Cradle あやとりをする少女

アルベール・アンカー (Albert Anker) 画
油彩 キャンバス
所蔵:クリストフ・ブッロハー・コレクション
1872
アンカー展 図録
編集:宮澤政男ほか
Bunkamura
2007

アルベール・アンカー (1831~1910) は、故郷アルプスの麓インス村の生活風景を愛情豊かに描いた作品を数多く残したスイスを代表する画家の一人です。『Cat's Cradle』には、二人の少女があやとりを取り合う、私たちにもおなじみの情景が描かれています。ほかの絵においてもそうなのですが、手指の描写はとても写実的。あやとりパターンも細部まで正確に描こうとしています。図録の解説・年譜によれば、アンカーは幼児教育に強い関心があり、1898年には乳幼児の成長を観察・分析したエッセイを発表しているとのこと。とくに、幼い子がその手指を自分のものと自覚するプロセスや手指の発達を促す遊戯・遊具に注目していたようです。「あやとり」については、手先の器用さと集中力の発達を促し、豊かな想像力と創造性を身につける遊びと考えていました ("Play to Learn" by Isabelle Messerli、『アンカー展』図録:pp.88-89)。この作品のベースには、そのような発達心理学的な視点があるのでしょう。やや面白味には欠けますが、あやとりの情景を描いた絵画としては貴重なものといえましょう。

Ys 2008/08/19

Cat's Cradle / Willie's Rope Trick あやとり (別題: ウィリーのロープ・マジック)

ノーマン・ロックウェル (Norman Rockwell) 画
作品画像:あやとり
原画は所在不明
"Saturday Evening Post" June 26, 1943.

ノーマン・ロックウェル (1894~1978) は、アメリカの著名なイラストレーター、画家。ユーモアのある温かいタッチで描かれた〈古き良き時代のアメリカ人〉は今日でもかなり人気があるようです。

この作品は、ロックウェルのライフワークとなった高級大衆雑誌『サタデー・イブニング・ポスト』の表紙絵で、“ウィリー・ギリス (Willie Gillis, Jr)” シリーズの8枚目として掲載されました。このシリーズは、1941年から1946年まで11作品があり、どこにでもいるようなごく平凡な男ウィリーが第二次世界大戦に従軍兵士として出征して帰国するまでの物語となっています。物語とはいえその中身は、戦場での活躍などの場面は一切なく、一市民兵士のささやかなエピソードに過ぎません。しかし結果的には、このシリーズが戦争支持のプロパガンダとして大きな効果を挙げることになりました。作品画像:“ウィリー・ギリス” シリーズ全作品

そのきっかけとなったのは、1943年2月~3月の同誌に掲載されたロックウェル会心の4部作「Four Freedoms 四つの自由」。これは、ペイトリアット (愛国者) でありリベラリスト (自由主義者) であるロックウェルが、1941年のルーズベルト大統領の議会演説に感銘を受け、アメリカ建国精神の要であるリベラリズムを明解に表現した作品です。当時の『サタデー・イブニング・ポスト』の発行部数は400万部。この表紙絵が国民の間で大評判となり、そして、ロックウェルが描くウィリーは〈リベラルな典型的アメリカ市民〉として人気者になります。それまでロックウェル流プロパガンダに懐疑的であった合衆国政府は態度を一変、ポスト社と共催で「Four Freedoms 四つの自由」展覧会を16都市で開き、財務省は戦時公債の売上で1億3千万ドル以上の収益を上げます。作品画像:「四つの自由

同じ年の6月26日号の表紙を飾ったのが、シリーズ8番目のこの作品「あやとり」です。ウィリーが異国の蛇使いの老人にあやとりマジックを見せて驚かせている、という戦争とは対極の情景を描いています。当時の読者は、〈人間は、一兵士として戦時下にあってもなお、個人の自由意志を失うことなく生きるべきである〉とのメッセージを読み取っていたのでしょう。ただの戯れ絵のように見えますが、実はかなり奥が深い作品なのです。

この拙文をまとめるにあたり、次のサイトの記事を参考にさせていただきました:《Best Norman Rockwell Art》《Norman Rockwell Museum》《Wikipedia

Ys 2010/04/09

Bead Game ビーズ・ゲーム

イシュ・パテル (Ishu Patel) 作
アニメーション 5分35秒
カナダ国立映画制作庁
1977
収録DVD:NFB 傑作選 イシュ・パテル、キャロライン・リーフ、ジャック・ドゥルーアン作品集
パイオニア LDC Inc.
2003

数千個のビーズ玉で描かれた「人間とは何か?」の物語。RNA断片らしきものからヒトへの生物進化、そして現代に至るまでの人間の所業へ、と切れ目なく続くビーズのメタモルフォーゼはとても美しい。見とれていると唐突に ‘あやとりをする人物’ が現れ全編の終わりとなる。生物の進化とは「遺伝子染色体の ‘あやとり’」なのか? ‘あやとり’ しているのは誰か?その解釈は見る人それぞれに委ねられています。

筆者はこの分野のアニメーション作品をはじめて見ました (上記DVD)。作者のメッセージを読み取るのもよし。独創的な映像表現に魅了されるもよし。一コマ一コマ作り上げる気の遠くなるような制作プロセスを知って驚くのもまたよし。楽しみ方はさまざま、奥の深い面白い世界のようです。興味のある方は、アニメーション作家山村浩二氏のサイト《Yamamura Animation's page》へどうぞ (「ビーズ・ゲーム」についての記事はブログ「知られざるアニメーション」2005/6/25にあります)。

なお、《NFB (カナダ国立映画制作庁)》のサイト (英語・仏語) では、「ビーズ・ゲーム」のビデオクリップが公開されています:Welcome (HTML version) → Find a film → search box [Bead Game]。

Ys 2006/07/21

少女 ~あやとり~

メルサド・ベルベル (Mersad Berber) 画
油彩
御所湖 川村美術館 蔵
19??

画像は次のページにあります:《御所湖 川村美術館》⇒「Gallery・企画展示」をクリック ⇒ 「旧ユーゴスラビア展」をクリック。

Ys 2003/12/20