Last updated: 2020/12/19

あやとりにかかわる文芸作品

ここでは、あやとりに関係する文芸作品を紹介しています。

俳句・川柳・短歌

文取り (綾取り)

前田喜代人 著;佐藤要人 編
所収:川柳/江戸の遊び (国文学解釈と鑑賞 519)
至文堂
1975/12
表紙写真「二人綾取り」
川柳 (ねこまたは…、他五句) pp.282-283 トピックス 049

江戸のおしゃべり

渡辺信一郎 著
平凡社新書
2000/01
川柳 (ねこまたは…) pp.30-31 トピックス 049

図説・浮世絵に見る江戸の一日

佐藤要人、高橋雅夫 監修;藤原千恵子 編
河出書房新社
1996/06
春信の錦絵 pp.32、川柳 (綾取って錦の…) pp.33

好色一代男 (全八巻)

井原西鶴
第五巻
荒砥屋孫兵衛可心 板
1682 天和二年
復刻本
校訂:横山重
岩波文庫
1955, 1999
あやとり遊びの名称が pp.144 にある

諸艶大鑑 (好色二代男) (全八巻)

井原西鶴
第二巻
池田屋三良右衛門 参河屋久兵衛 板
貞享元年 1684
復刻本
横山重 校訂
岩波文庫
1958, 1999
あやとり遊びの名称が pp.92 にある

綾とりをする少女

竹久夢二 著
所収:夢のふるさと
新潮社
1919 大正八年
復刻本
所収:竹久夢二文学館 第2巻 — 詩集Ⅱ
日本図書センター
1993

この詩は《J-TEXTS 日本文学電子図書館》で公開されています → 近代文学作家作品 ◎竹久夢二 (20詩歌集) → 『夢のふるさと』。リンク先のJ-TEXTSは存在していません
詩の一節「ぺんぺん ことかいな」は夢二が旅先で聞いた伝承のあやとり遊び唄 → 『あやとりかけとり:日本童謡集』に収録されている。

Ys 2006/05/27

あやとり (新童謡)

さとうよしみ 著
所収:ふるさと日本 2年生 pp.112-113、155
実業之日本社
1957

この歌詞から、当時は「いととり」があやとりの呼び名として広く通用していたことがうかがえる。

Ys 2010/12/22

ハネつきとあやとり

早船ちよ 著;久保喬 編
所収:おはなし日本2 あそびとわらべうた pp.127-134
盛光社
1967
推定初版
三十書房
1960

お正月が近づき、羽子板を飾り、二人あやとりを歌いながら取り合う姉妹。昭和30年代にはさほど珍しくもなかったこのような情景も、今は知る人も少なくなってきました。作者の代表作は『キューポラのある街』。飛騨市郷土民芸会館に「早船ちよ館」があります → こちら

Ys 2010/12/22

青い糸

安房直子 著;赤星亮衛 装画
所収:童話集 銀のくじゃく 書き下ろし作品
筑摩書房
1975
ちくま文庫版
1985

優れた作品は読者にさまざまな ‘読み’ を許します。筆者は、この儚く美しいメルヘンを「あやとり」の魅力/魔力を描いた稀有な作品として味わいました。

「一人で取るあやとり」には作り手に働きかけるアンビバレンスな力があることを知っている「圭子」。それは作者自身でもありましょう。1973年に世界のあやとりを紹介した本が注目を集め、ちょっとしたあやとりブームになりました。それはこの作品が書き下ろされた時期でもあります。作者の「あやとり」に対する繊細にして鋭い感性とその理解の深さは、幼少の頃の自らの体験に根差しているのでしょうか?それとも大人になってからあやとり世界の奥深さを知って一気にその本質を感得したのでしょうか?残念ながら、作者はすでに亡くそれを知るすべもありません。

「青い糸」は ‘あやとりとは何か’ を考える上で欠かせない作品と言えましょう。2004年に刊行された 安房直子コレクション 6巻『世界の果ての国へ』(偕成社) に収録されています。

Ys 2006/02/02

あやとりのすきなまいちゃん

山田正志 著
所収:子どもの館 8巻9号 (88) pp.50-66
福音館書店
1980

あやとり谷の森も川もすべて ‘まじょ’ があやとりで生み出した…。この物語で展開される壮大なあやとりのイメージ、コミカルなコブタたちの動きは、アニメで表現すると面白いのではないでしょうか。

Ys 2010/12/22

クモのあやとり

平塚ウタ子 著;宮下佐奈美 絵;後藤楢根 編
所収:童話 #351 pp.21-29
日本童話会
1982

あやとりからクモの巣を連想することは、以前はふつうのことでした。しかし、クモは毛嫌いする人が多く、また、強力殺虫剤の使用でクモを見る機会がほとんどなくなりました。子どもの頃にクモが草木の枝に巧みに巣を張るのをずっと見つめていた経験のある人には、親しみの感じられる作品といえましょう。ついでながら、クモの好きな人には、この本がオススメです — 『クモの網 — What a Wonderful Web! (INAX BOOKLET)』。

Ys 2010/12/22

そらをとんだけいこのあやとり

やまわきゆりこ 作・画
福音館書店
1985/6

あやとりっこ

今江祥智 著:宇野亜喜良 絵
所収:飛ぶ教室 (30) pp.139-142
光村図書
1989
所収:今江祥智の本 第30巻 ラベンダーうさぎ
理論社
1990/06

小学3年生の男の子の淡い恋の物語。あこがれの女の子と二人あやとりを取り合うドキドキ感は作者と同世代の男性には共感できるでしょう。

Ys 2010/12/22

とりどりのとり

佐々木マキ 著
クレヨンハウス
1994/10

こんな ‘とり’ 知ってる?「しりとり・あまやどり・さとり…」、もちろん「あやとり」もいます。鳥好きの著者が楽しみながら作ったことがそのまま伝わってくる絵本です。

Ys 2006/08/05

野ウサギのラララ

舟崎克彦、舟崎靖子 作;舟崎克彦 画
理論社
1997/07

あやとりひめ:五色の糸の物語

森山京 作;飯野和好 画
理論社
1999/04

だるまちゃんとやまんめちゃん

加古里子 著
こどものとも 2006年7月号
福音館書店

ストーリーには関係ありませんがだるまちゃんがやまんめちゃんと「あやとり」をしています。シリーズの1作目『だるまちゃんとてんぐちゃん』が出版されたのが1967年ですから、今回 (7作目) の刊行までに40年の歳月が流れています。‘本’ を大切にする著者や出版社ならではの息の長い仕事ですね。なお、氏の著作には「あやとり本」の先駆けとなる『日本伝承のあそび読本』もあります。

Ys 2006/07/09

糞袋

藤田雅矢 著
新潮社
1995

「糞舟」の臭い漂う西鶴の句で幕開けとなる都びとの糞尿まみれの物語。人間という ‘生き物’ の本性の一端を描いたこの作品。不快な読後感を与えないのは作者のお人柄でしょうか。作中で「あやとり」がどのように使われているのか?は読んでのお楽しみ。でも、‘糞尿譚’ に嫌悪感をお持ちの方は読まない方が…。

Ys

日本国王抹殺

黒須紀一郎 著
作品社
2006

『役行者』・『覇王不比等』など歴史小説に新境地を開いた著者の最新作。「綾取り」については、読者それぞれの感想がおありでしょう。筆者は上手に取り入れていると思います。詳しくは トピックス 141 へ。

Ys 2006/06/24

綾とりで天の川

丸谷才一 著
文藝春秋
2005

猫のゆりかご

川上弘美 著
所収:日本経済新聞夕刊 文化面
1999
所収:ゆっくりさよならをとなえる
新潮社
2001
(新潮文庫版 2004)

新聞連載エッセイの一篇。「小説を書くことに疲れると、取り出して見る本があって、…」(文庫版 pp.76)。その本は『あやとり』(野口広 1973)!

なぜこの本で疲れがとれるのか。その説明が、いかにもこの作家らしくて、とても面白い。それにしても、無味乾燥の〈あやとりの取り方指示文〉をおいしく読む方がおられるとはまったく思いもかけないことでした。

Ys 2006/07/28

綾取り人〈詩集〉

高柳誠 著
湯川書房
1985

ジェイムス・フレイザー卿の名著『金枝篇』(1890~1936) には、次の一節があります。

「イグルリクのエスキモー[原文のまま。現在は使われない呼称]は、秋になって太陽が南へまわり、北極の空低く沈んで行くとき、それを糸の網目で捉えて消え行くのを防ぐために綾取り遊びをする。」(永橋卓介 訳、岩波文庫版 (一) 第五章 天候の呪術的調節 pp.183 )。

イグルリク (Igloolik) はカナダ極北圏、バフィン島北部の南方沖の小島。1970年代の調査でも、現地のイヌイットから同様の言い伝えが記録されています。

"太陽が姿を見せる季節は、綾取りが太陽の膝を傷つける恐れがあるので、綾取りをしてはいけない。膝に傷を負った太陽は厚い雲に隠れ、寒い日が長々と続くから" そして、日中でも太陽が昇らず薄明の状態が続く ‘極夜’ の日々、太陽がこのまま永久に姿を消してしまわないように綾取りが行われる。 (Saladin d'Anglure, B. "String Games of the Kangirsujuaq Inuit" 2003 Bulletin of the ISFA 10 : pp.80)

このような「綾取り」の奥深い一面を知る読者は、作者の紡ぎ出す詩の世界、その虚と実の間[はざま]に遊ぶことができましょう。口承神話・伝説の研究者や愛読者諸氏にも気分転換にお勧めします。

Ys 2006/04/23

夜明け

山本沖子 著
所収:朝のいのり
文化出版局
1979

二人の子供の可愛い姿が目に浮かぶ。 (情報提供いただいた〈K美術館〉さんに感謝)

Ys 2013/11/27

木村信子 著
2002

「あやとり」→「こんがらがる」は、もっともありふれたイメージ連想。それをひとひねり、「こんがらがる」のは「あやとり」ではなく…。

この詩は木村信子さんのサイトに掲載されています。⇒ こちら

Ys 2006/03/19

聊斎志異 (りょうさいしい) — 巻七 梅女

蒲松齢 著
17世紀末頃

完訳 聊斎志異 二

蒲松齢 著;柴田天馬 訳
角川文庫
1969

猫のゆりかご

カート・ヴォネガット・Jr 著;伊藤典夫 訳
早川書房
1979/07
原著: Kurt Vonnegut, Jr. (1963) "Cat's Cradle"

大草原の小さな家

ローラ・インガルス・ワイルダー 著;こだまともこ、渡辺南都子 訳
pp.245
講談社
1988/06
Laura Ingalls Wilder (1990) "Little House on the Prairie" pp.204 [原著の刊行は1935年]

物語の中に、あやとりの場面が登場します。 トピックス 125

明かりが消えたそのあとで — 20の怖いお話

マーガレット R. マクドナルド 著;佐藤凉子 訳;出久根育 画
編書房
2004/04
原著:MacDonald, Margaret Read (1988) "When the Lights Go Out : 20 Scary Tales to Tell" The H.W.Wilson Co., NY

アメリカの著名なストーリーテラーが、子どもたち相手に語りかけて練り上げた「怖いお話」20編。読者が話し手となって語る場合のアドバイスには、長年の経験に裏付けされた著者ならではの説得力があります。

その一編、「トタングアック」の原話は、1920年代にカナダ極北圏のネツリック・イヌイットが伝承していた「あやとり精霊の話」です。語りながらあやとり (「つぶれたテント」=「シベリアの家」) を作って見せるなど、原話にはない巧みなアレンジで ‘面白怖い’ お話に仕上げてあります。〈あやとりの精霊〉については、こちら をご覧下さい。

これまでの調査で、世界各地のあやとりには唄や語りを伴うものが数多くあったことがわかりました。それが本来のあやとりの姿であったようです。日本の伝承あやとりにも、戦前の農村の交換結婚のことを歌った唄や隣町の悪口唄が調査記録に残されています。今日でも、昔から伝承されてきた「あやとりとお話」を語る人々 (アラスカ先住民ユッピク、ニュージーランド先住民マオリなど) や、世界のいろいろなあやとりに新しいお話を付けようと試みている人たち (海外のISFA会員ら) もいます。これからストーリーテラーを目指す人は、子どもたちに興味を持たせる演出として、「あやとり」にも注目されてはいかがでしょうか。この「トタングアック」はそのお手本となる作品といえましょう。

Ys 2007/10/19