「キス」ツバル |
ツバルでの本来の名前は「夫と妻」。パプア・ニューギニアでは、「果樹園で逢う男の子と女の子」と呼ばれています。人差指の手前側の糸を、親指でパターン中央へずらせていくと、二人がだんだんと近づいて、そしてキスします。
取り方の詳しい説明は "String Figure Magazine" Volume 6, number 1 (March 2001) にあります。(ISFA会員のみが取り方を閲覧できます)
ここでは、生活のあやとりを紹介しています。
「キス」ツバル |
ツバルでの本来の名前は「夫と妻」。パプア・ニューギニアでは、「果樹園で逢う男の子と女の子」と呼ばれています。人差指の手前側の糸を、親指でパターン中央へずらせていくと、二人がだんだんと近づいて、そしてキスします。
取り方の詳しい説明は "String Figure Magazine" Volume 6, number 1 (March 2001) にあります。(ISFA会員のみが取り方を閲覧できます)
「赤ん坊が生まれる」オーストラリア |
赤ん坊が母親の胎内から生れ落ちる瞬間を描いたノーザン・テリトリーのアボリジニ (the Yirrkala, the Wardaman) のあやとり
取り方の詳しい説明は "String Figure Magazine" Volume 2, number 3 (September 1997) にあります。(ISFA会員のみが取り方を閲覧できます)
初出 | Davidson, D.S. (1941) "Aboriginal Australian string figures" Proceedings of the American Philosophical Society 84:763-901. |
「火 |
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伝承者は、ヨーク半島の北端、ヨーク岬のアボリジニ少年。
取り方のイラストと英文解説は "String Figure Magazine" Volume 3, number 4 (December 1998) にあります。(ISFA会員のみが取り方を閲覧できます)
その説明は: パターン (左上) は、‘火口 (ほくち)’ あるいは ‘燃えやすい乾いた柴’ のようなもの。ここで、もう一人が真中のダイヤに下から手指を入れます (右上)。この指は小さな ‘炎’ を表しています。パターンを持つ人が、右手の輪を外し、グィっと左方へ引くと、左手の ‘火口’ は崩れ、燃え上がる炎だけが残ります (下)。
しかし、初出文献では、「もう一人の手指が ‘炎’ を表している」と記されているだけで、このパターン (左上) が何を表現しているのかは不明です。この一連の取り方は、アボリジニ独特の ‘火熾し (ひおこし)’ を描いているのかもしれません。
初出 | Haddon, K. (1918) "Some Australian string figures" Proceedings of the Royal Society of Victoria N.S. 30(2): 121-36. |
「木登り男」ノースクィーンズランド・オーストラリア |
20世紀初頭に、ベッドフォード岬 (グレートバリアリーフに面したオーストラリアの北東海岸地方) で現地のアボリジニから採集されました (有木本の説明:ニューへブリッジは誤り)。出来上がりのスケッチだけが残され、オリジナルの取り方は記録されていません(*1)。日本の綾取り本で紹介されている取り方は、W. I. Pocock なる人物により考案された方法です(*2)。木の根元を表すループは、足指や重い本で保持するようになっていますが、スケッチでは作り手の膝頭に引っ掛けています。シンプルな動きのあるあやとりです。
取り方:野口広 (1973)『あやとり』河出書房新社など
(*1) | Roth, W.E. (1902) "Games, sports and amusements" North Queensland Ethnography 4:10-11, plates III-XII (reproduced in Jayne (1962), pp. 376-385) |
(*2) | Haddon, K. (1912) Cat's Cradles from Many Lands. (*Reprint Edition 1983, Watchung, New Jersey: Albert Saifer Publications). (95 pages): pp.69-70 |
取り方: 木に登る男
「そりを引くトナカイ」シベリア先住民 |
ベーリング海峡の西側、チュコトカ半島 (Indian Point) から来ていた捕鯨船の船員から収集。右側が「トナカイ」、左が「そり」です。その間を斜め平行に走る2本の糸は、“引き皮 (trace)” (=トナカイに付けた引き具 (harness) とそりをつなぐ長い皮紐) を表しています。このあやとりを見せながら、唄を歌います。
どこかへ行きたい アイヤルロマナ | |
そりの引き手は なに思う | |
アイヤルロマナの トナカイたちは | |
引き皮 蹴破り 逃げていく |
(ご注意:現地語の歌詞とその英訳は Jenness の下記の原著に記載されています。この拙訳 – by Ys – をあまり信用しないように。)
この唄の最後の一節に合わせて、小指の輪を外し、親指でパターンを広げ直すと、ひっくり返った「そり」だけが残る。
取り方は「極北圏のあやとり」プロジェクト ⇒ Part 2 ⇒ 17. A Reindeer Dragging a Sled (XIV) (ISFA会員のみがアクセスできます)
出典 | Jenness, D. (1924) "Eskimo String Figures" Report of the Canadian Arctic Expedition, 1913-1918, volume 13, part B:1-192. |
「カヤックを漕ぐ人」 |
シベリア・チュコト半島 |
「山並み」 |
1909年一人の女性によって、チュクチ人から採集されました(*1)。チュクチ (the Chukchee) は、ユーラシア大陸の最東端チュコト半島とその内陸部 — ロシア・チュコト自治管区 — に暮すシベリア先住民です。その後1914年の春に、ビクトリア記念博物館 (カナダ・オタワ) の D.Jenness が、そのチュコト半島から来ていた捕鯨船の船員から収集しています(*2)。二人とも「カヤックを漕ぐ人」から「山並み」へと続けて取りました。
取り方は "String Figure Magazine" Volume 2, number 3 (September 1997) に イラスト説明付きで掲載されています。(ISFA会員のみが取り方を閲覧できます)
ISFAはオンラインでも取り方を公開しています:取り方は「極北圏のあやとり」プロジェクト ⇒ Part 2 ⇒
143. The Kayaker (CXXXVI)
144. The Range of Mountains (CXXXVI)
(ISFA会員のみがアクセスできます)
(このサイトでは、小さな画像表示で糸の取り方を明瞭にするために、短めの太い糸を用いています。実際にはもう少し長く細い糸を使って作ります)
さて、伝承者の船員は「カヤックを漕ぐ人」が出来上がると、唄を口ずさみながら「山並み」を作りました。その唄は:
夏に カヤックを漕いでいった | |
吹きつける風の中を 降りかかる雪の中を | |
叩きつける雨の中を カヤックを漕いでいった | |
見上げれば遥か向こうに あの山並みが見えた | |
・・・ |
(ご注意:現地語の歌詞とその英訳は D.Jenness の書に記載されています。この拙訳 – by Ys – をあまり信用しないように。)
この後、作り上げたあやとりの「山並み」の見え方を唄って終わりとなります。五つの連山が (A) のようにきれいな形で現れると “山々はくっきりとその姿を見せていた” と; (B) のように糸が重なり、山並みが見えなければ “山々は深い霧に包まれていた” となります (Jenness 1924:pp.156B)。
あやとり研究者のハッドン女史 (K.Haddon) によれば、この一連のあやとりは、“チュクチの男が一人乗りカヤックでベーリング海峡へ漕ぎ出し、海上遥か彼方にアラスカの山々を望む光景を描いている” のだそうです(*1)。ベーリング海峡は濃い霧が立ち込める日が多く、山々が (B) のように見えることも珍しくなかったでしょう。
有木本(*3)の説明にある「山々の見え方で占いをする」という記述は D.Jenness の報告書や K.Haddon の本にはありません。お天気占いの遊びには使えるかもしれませんが…。
なお、アラスカ地方の人々は「カヤックを漕ぐ人」を経ないで、「山並み」と同じパターンだけを作っていました(*2)。プリンスオブウェールズ岬では「物干し網」、バロー岬や内陸地方では「連峰」のほか、「閉じていた目をパッと開く」という名称もあります。最後の展開で親指を一気に下げると横方向の数本の糸のもつれでしかなかったパターンが一瞬にしてあざやかな形に変じる、その瞬時の変化を「目をパッと見開く」と表現したのでしょう。
(*1) | Haddon, K. (1930) Artists in String. Reprint edition 1979, New York: AMS Press: pp.14-15, pp.23-26 |
(*2) | Jenness, D. (1924) "Eskimo String Figures" Report of the Canadian Arctic Expedition, 1913-1918, volume 13, part B: pp.156-158. |
(*3) | 有木 昭久 (197)『世界のあやとり傑作選』黎明書房、同 (1980)『あやとり入門』保育社 |
取り方: カヤックを漕ぐ人~山並み
「そりを引く犬」カナダ極北圏・アラスカ |
1910年代に、カナダ・オタワにあるビクトリア記念博物館の D.Jenness によって収集されました。アラスカのバロー岬、カナダ・マッケンジー地方で伝承されていました。
出来上がり (左) から、右小指を外し、右親指の輪を広げると、犬は左へ一目散、あとにはそりから落ちたご主人様が取り残されます (右)。
取り方は「極北圏のあやとり」プロジェクト ⇒ Part 2 ⇒ 10. The Dog Dragging the Sled (ISFA会員のみがアクセスできます)
出典 | Jenness, D. (1924) "Eskimo String Figures" Report of the Canadian Arctic Expedition (1913-18), Vol. 13, part B. |
「そりを引く犬」アラスカ |
アラスカ南西部に暮すユッピク (Yup'ik) の人々が現代まで伝承しています。出来あがり (左) から、左小指をその輪から抜き、真ん中・下のスペース (■) へ入れて左方へ引くと、そりの引き綱が外れて、そりは残され、犬は綱を付けたまま右方へ去ります (右)。
取り方は Nicolai, D. (2002) "Yup'ik String Figures" Bulletin of the International String Figure Association 9 : pp.203-234 にあります。
「赤ちゃん」ハワイ先住民 |
カウアイ島のハワイ先住民のあやとり、原題は「ahamaka ハンモック」。出来上がりの形 (A) から、右手を元の位置に戻すと (B) となる。
このあやとりに伝わるお話: あるお母さんがいました。赤ん坊があまり泣くので、仕事をしている間、屋外のベランダに吊るしてあるハンモックに寝かせておきました (A)。しばらくして見に行くと、ハンモックはもぬけの殻で赤ん坊はいません (B)。嘆き悲しんだお母さんは、もう二度とハンモックのマットを作りませんでした (Dickey, 1928:pp.20-21)。
同じハワイでも、ニイハウ島では “palai huna nui” と呼ばれています。その英訳は “extreme shyness” とありますから、「すごい恥ずかしがり屋」といったところでしょうか。(A) から (B) へ、開いたパターンをさっと閉じてしまう、そのイメージからの命名かもしれません。
初出 | Dickey, L.A. (1928) "String figures from Hawaii, including some from New Hebrides and Gilbert Islands" Bishop Museum, Bulletin 54. |
取り方: ハンモック
「ココナツ割り」ローヤルティ諸島 |
取り方は トピックス 085。
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「井戸と囲い」ローヤルティ諸島 |
ローヤルティ諸島のリフ島のあやとり「井戸と囲い」です。リフ島のようなサンゴ礁の島 (環礁) は、井戸を掘っても地下水が湧き出すことはほとんどありません。この「井戸」は、雨水を溜めるために掘られた穴のことです。
上・左のパターンは、井戸に水が溜まっている状態を表しています。次に、小指で押さえている糸を緩め、手のひらを少し上に傾けると、水が干上がって地面が現れた形に変化します (上・右)。さらに取り続けると、この井戸の「囲い」が出来上がります。
最初の「井戸」(上・左) と同じ取り方・パターンのあやとりは、ハワイや南太平洋の島々でも知られています。その名称は、「カヌー」(ハワイ)、「かご」(キリバス)、「椀」(ソロモン諸島のティコピア島)、「丸木舟カヌー」(フィジー)、「カヌー」(トレス海峡のマビアグ島)。トレス海峡の東部のマレ島では、「現地名 “Ti” と呼ばれる鳥の巣」。“Ti” は英名 “Australian Sun-bird”、和名 “キバラタイヨウチョウ”、スズメ目の10cmほどの小さな美しい鳥です。
なお、日本のあやとり本では、「干上がった井戸」の形から「噴水」へ続ける子供向けのアレンジがされていることもあります。
初出 | Rivers, W.H.R. & A.C. Haddon. (1902) "A method of recording string figures and tricks" Man 2:146-53. |
Jayne, C.F. (1962) String Figures and How to Make Them. New York: Dover. (407 pages) - A reprint of the 1906 edition entitled String Figures, published by Charles Scribner's Sons, New York. | |
Firth, R. & H.C. Maude (1970) "Tikopia string figures" Royal Anthropological Institute Occasional Paper 29. (63 pages) |
取り方: 井戸~井戸の囲い
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「キングフィッシュ」トレス海峡諸島 |
オーストラリア大陸とニューギニア島を隔てるトレス海峡の島々には、トレス海峡諸島民 (Torres Strait Islanders) と呼ばれる先住民が暮らしています。1888年から1904年にかけて数回現地を訪れたケンブリッジ大学の A.C.ハッドン教授が、本職の海洋生物の研究調査の合間に、先住民から採集しました。
完成パターンを「網」と見なし、もう一人が網に通す腕を「魚」に見立てます。網を持つ人が、左手をはずし、右手を引くと、魚は捕まります。右手をはずし、左手を引くと、魚は網をすり抜け逃げてしまいます。
海峡の東寄りのマレ島 (Murray Is.) では、このあやとりを “Geigi” と呼んでいます。そして、あやとり研究者の K.ハッドン (A.C.ハッドンの娘) 自著に “Geigi = King Fish = Cybium commersoni” と記述しています。それに従えば、この「魚」は「ヨコシマサワラ」となります。なお、同じ海峡の中西部のマビアグ島 (Mabuiagu Is.) では、このパターンは「ジュゴン」と呼ばれています。
ところで、このあやとりと同じ趣向のパターン (取り方は少し異なる) が、1902年、カロリン諸島ナティック島 (Ngatik Is.) の女性から採集されています。現地語での呼び名は不明、また、もう一人が差し入れる腕を何に見立てていたかも不明です。1906年刊行の C.F.ジェーンの本では、便宜上、「カロリン諸島のキャッチ〈catch〉」と名付けています。1970年代の日本のあやとり本では、「サケ網」として紹介していますが、このタイトルは再考の余地があるといえましょう。また、ソロモン諸島のティコピア島にも同じ趣向のパターン (取り方は少し異なる) があり、「食べちゃうぞー」の呼び名があります。
初出 | Rivers, W.H.R. & A.C. Haddon. (1902) "A method of recording string figures and tricks" Man 2:146-53. |
Haddon, K. (1912) Cat's Cradles from Many Lands (*Reprint Edition 1983, Watchung, New Jersey: Albert Saifer Publications). (95 pages) : pp.69-70 | |
Jayne, C.F. (1962) String Figures and How to Make Them. New York: Dover. (407 pages) - A reprint of the 1906 edition entitled String Figures, published by Charles Scribner's Sons, New York. | |
Firth, R. & H.C. Maude (1970) "Tikopia string figures" Royal Anthropological Institute Occasional Paper 29. (63 pages) |
「義理の兄弟の出会い」クワクワカワク |
1930~31年、アメリカの文化人類学者フランツ・ボアズのバンクーバー島 (カナダ北西沿岸) 調査旅行に参加したロシア人留学生 Julia Averkieva が、先住民クワクワカワク (当時はクワキウトル・インディアンと呼ばれていた) から採集。
クワクワカワクの社会では、〈実の兄弟や義兄弟が強い絆で結ばれる〉のは当たり前のこととされていました。それだけに兄弟の仲たがいは世間の耳目を集めることになります。語り伝えられた物語の世界でも、狩猟の腕前や恋人をめぐる兄弟間のジェラシーはおなじみの主題となっています。
このパターンでは、上側を2本の枠糸が左右に走り、それぞれの糸に縦長のループが掛かっています。両手の間にこの珍しいかたちが現われた時、‘兄弟’ の物語に親しんでいたクワクワカワクの人たちには、縦長の2つのループが、「よそよそしい感じで互いに距離を置いて立っている兄弟」のように見えたのでしょう。クワクワカワクのあやとりには、アラスカやカナダ極北圏のあやとりと同じパターンが数多くあります (名称は異なることが多い)。しかし、ユニークなデザインをデリケートな人間関係に見立てたこのあやとりは、これまでの調査記録を見る限りでは、クワクワカワクだけが伝承していたようです。
取り方 (ビデオクリップ): String Figure of the Month 2009 January
出典 | Averkieva, J.P. & M.A. Sherman (1992) Kwakiutl String Figures. American Museum of Natural History, Anthropological Papers 71. Seattle: University of Washington Press. (232 pages) |
上記「クワクワカワクだけが伝承していたようだ」とありますが、それは「光の筐」に対するコメントです。 この「義理の兄弟の出会い」は、D. Jenness のコレクションにも同じあやとりがあります。 取り方は「極北圏のあやとり」プロジェクト ⇒ Part 2 ⇒ 41. The Meeting of Two Brothers-in-Law (XXXVIII) (ISFA会員のみがアクセスできます)
出典 | Jenness, D. (1924) "Eskimo String Figures" Report of the Canadian Arctic Expedition (1913-18), Vol. 13, part B. (192 pages) |
カナダのヌナヴィクで光の筐と同じあやとりが 1966年に B. S. d'Anglure 氏により採集されていたことがわかっています。
出典 | d'Anglure, B.S. (1966) "String Games of the Kangirsujuaq Inuit". BISFA-10 |
「子供の墓」クワクワカワク |
1930~31年、アメリカの文化人類学者フランツ・ボアズのバンクーバー島 (カナダ北西沿岸) 調査旅行に参加したロシア人留学生 Julia Averkieva が、先住民クワクワカワク (当時はクワキウトル・インディアンと呼ばれていた) から採集。
クワクワカワクの伝統的風習では、子供の遺骸は彫刻が施された棺の中に納められ、その棺はトウヒ松の高いところに安置される。オオカミに遺体を盗まれないようにするためにである。このあやとりは、高いところに置かれた棺 (五角形の形) を表しています。
取り方 (ビデオクリップ): String Figure of the Month 2008
出典 | Averkieva, J.P. & M.A. Sherman (1992) Kwakiutl String Figures. American Museum of Natural History, Anthropological Papers 71. Seattle: University of Washington Press. (232 pages) |
「水飲み場と二人の女性」パラオ |
1900年代に、ミクロネシアのパラオ諸島 (当時はドイツの植民地。1994年にパラオ共和国として独立) で、カプチン修道会のドイツ人修道士 Raymund Laile によって採集されました。当地では、植物の靭皮繊維から採った糸や、乾いたパンダナスの葉を細長く裂いたものを、あやとりひもとして使っていました。
このパターンは「水飲み場」(中央のダイヤ) と「水を汲みにやってきた二人の女性」(両側の縦長ループ) を表しています。なお、現地での取り方は記録されていません。ビデオクリップの取り方は、ミクロネシアのナウル島のあやとりを参考にして復元されたものです。
取り方 (ビデオクリップ): String Figure of the Month 2009 February
出典 | Raymund P., Reichert A., D'Antoni J. and Sherman M. (2006) "The String Games and Cat's Cradles of Palau" BISFA 13 : pp.1-163. (English translation of Raymund's 1911 article, plus reconstructed methods). |
「お守り」日本 |
《さいとうたま あやとりコレクション》 私たちが和服を着ていた時代、着物には背縫いがあり、その縫い目が魔よけとなると多くの人が信じていました。一枚生地で仕立てられた幼な子の着物には背縫いがありません。それで着物や産着を仕立てる時には背縫いの代わりとなる魔よけのお守りを縫い付けるという風習がありました。そのお守りは「背守り」と呼ばれ刺繍や押し絵などが知られています。縫い取りのデザインとしては、籠目、井桁、麻の葉などの文様が好まれたようです。このあやとりは、その背守りの模様を表しています。
さいとうさんは、1975年に広島県下で、明治・大正生まれの女性から「まもり、かざり」と呼ばれるあやとりがあったことを聞き出します。しかし、ご婦人方は取り方を忘れ途中までしか作れませんでした。その後まもなく、最後まで作れる女子高校生に出会いますが、背守りを知らず、そのパターンを「クモの巣」と呼んでいたそうです。
ひとりあやとりの「あみ」から「はなかご」を経て作ります。福音館本には未収録。2006年12月から開催された INAXギャラリーの「世界あやとり紀行—精霊の遊戯—」展で、はじめて取り方が紹介されました。取り方の写真付き説明は『世界あやとり紀行—精霊の遊戯—』(INAX出版、2006) にあります。
「鐘が鳴る」by Urs Schafer |
アイディアの源は、“ジングルベル” の歌。ドイツの12才の少年の作。
取り方は "String Figure Magazine" Volume 7, number 3 (September 2002) にあります。(ISFA会員のみが取り方を閲覧できます)
「サンタの帽子」by 神谷和男 |
取り方は BISFA Vol.7, 2000 : pp.320