あやとりトピックス 221-230
同じあやとり? 2022/09/09
Stig Rydén氏の South American String Figures (1934) の 28ページに Kopedareñik というあやとりが出ています。取り方はありません。下の図1です。
図1. Rydén's Kopedareñik
図2. Read's reconstruction
Ron Read氏が復元して BSFA-8 (1982) に発表しました。しかし、これを取ると図2になってしまいます。これは糸のかかり方があちこちで異なっていて、図1と同じには見えません。何年か前に「この復元は正しくないのでは?」とISFA編集長のシャーマンさんに確認したところ、彼も「確かに違う、Readの復元は正しくない」と同意してくれました。
ところが、最近になって、シャーマンさんが「この2つは、同じだ」と言ってきました。なんと、図2のパターン上の二重のからみを向こうから上の糸を越して手前に持ってくると、図1と同じになるのです!
みなさんは、ぱっと見でこれらが同じだと認識できますか?
これと似たテーマで、J. Ornstein氏が BSFA-18 (1992) に “Intension vs. Extension – an inquiry into the aesthetics of string figures”(内包と外延 – あやとりの美学への問いかけ)という記事を書いています。どの形を「完成形」とするかは十人十色ですが、その完成形からほんのわずかな操作で異なる完成形が現れる。糸の質(硬いとか滑りやすいとか)によっても完成形の見た目が著しく異なることがある。ちょっと糸を調整するだけで見たこともない完成形になることがある。このような性質を氏は内包(intension)と言っています。外延(extension)について氏は特に述べていませんが完成形にあたるのでしょう。ちなみに、内包と外延は論理学の用語で、数学でも使われます。
条件によって完成形の見た目が異なる例はたくさんあります。例えば、日本のあやとりに「かえる」というのがあります。これは短い糸で四段ばしごを作ったものです。
図3. かえる
図4. 四段ばしご
k16@ISFA
斎藤たま氏資料拝見@東京文化財研究所 2022/08/17
2022年8月16日に国際あやとり協会会員のI氏と私の2名で、上野にある東京文化財研究所 (以下、東文研と記します)の無形文化遺産部に伺い、斎藤たま氏のあやとりに関する調査カード及び関連資料を拝見させていただきました。
斎藤たま氏は1970年頃から約30年間かけ、日本全国を旅して日本の民俗文化を調査・研究し、膨大な数の調査カードと関連資料を残しておられます。たま氏は1999年から当協会会員の協力のもと、数年かけて調査内容の中から「あやとり」に関する記録をまとめられました。そしてその内容は、日本の伝承あやとり作品・わらべうた約200種類にも及び、2004年に国際あやとり協会発行の会誌「BISFA Vol.11 」として出版されました。また最近その日本語原稿が見つかり、日本語版「BISFA Vol.11 Japanese edition 」(以下、BISFA-11Jと記します)が今年出版されました。
今年出版された「BISFA-11J」
しかし「BISFA-11J」の原稿元となっていると思われる、たま氏の調査カードの資料データは当協会にはほとんどありませんでした。数年前に東文研がその調査カード及び関連資料を所有し、調査カードについてはデータベース化に向けて作業を行なっていること、また今年になってその一部が公開がされていることを契機に、東文研とやり取りさせていただき、関連資料と共に拝見させていただけることになりました。
斎藤たま氏の民俗調査カードの公開サイトはこちら 。(ただし、あやとりに関する調査カードのデータベース化の作業についてはまだ終わっていないため、公開され次第ご報告します)
実際に東文研に伺い調査カードを拝見しましたが、まずその数に圧倒されました。東文研のI氏に伺ったところ、カードの数は約5万5千枚にも及ぶとのことでした。またその中であやとりに関する調査カードの枚数は2千枚ほどで、それでもかなりの数でした。同じ形の作品でも、呼び方や取り方が異なっていたり、訪れた各都道府県・各地域でのあやとりの呼称の違いや採取場所といった内容をそれぞれ記録しているため、膨大な枚数となっていました。あやとりに関する調査カードのみを拝見しましたが、こと細かく記載している内容を実際に目の当たりにし、記録作業は大変な労力であっただろうと思われました。
調査カードの一部(左側の棚中央から右側の棚後方までが「あやとり」に関する調査カード)
調査カードの他にも、調査の際に斎藤たま氏が一緒に持って行ったであろう手帳も拝見させていただきました。その手帳の中には、単語の羅列がびっしり記載されており、メモ書きとして利用されていたのだろうと推測されます。そして興味深いのは、手帳には作品名や呼称といった単語のみの記述で、取り方の詳細の記述がないにも関わらず、調査カードには詳細の取り方が記載されていることでした。
その場で取り方を記録したのか、はたまた取り方を覚えて調査を終えたその日のうちに取り方を記録したのかは定かではありませんが、記録作業の一片を垣間見れたことは嬉しい限りです。
手帳の資料
「富士に蝶」という作品の手帳メモ(画像上)と それに対応する調査カード(画像下)
また手帳であやとりに関連する箇所には、目立つように赤丸で囲っていたことや、調査カードの右上に記載されている数字が、「BISFA-11J」に掲載されている作品番号と一致していたことも発見し、記録をまとめる作業の一端も見ることが出来ました。
BISFA-11Jの作品番号#107として紹介されている 「お守り(くもの巣)」の調査カード
BISFA-11Jの「お守り」のページ
数十年かけて記録された膨大な数の調査カードの中から、あやとりに関する記録をまとめて協会誌として公開されたのは大変貴重で価値のあることだと改めて思わされました。またあやとりだけでなく、約5万5千枚もの調査カードが東文研のご尽力でデータベース化されていくとのことで、後世にこの調査記録が更に利用されていくことを切に願っています。
今回の資料拝見にご了承・ご対応いただきました東文研の方々には厚く感謝申し上げます。
加藤直樹@ISFA
〔追記〕
あやとりに関する記録のうち、データベース化の作業が終わったものについては、民俗調査カード集成ページ から検索して、カードのスキャン画像及びデータ内容を見ることができます。2022年12月25日現在、200枚程度が閲覧できます。(「テーマ」の検索欄に「あやとり」と入力すると、検索結果が表示されます。)また、前言のページ では、斎藤たま氏の顔写真や、秩父浦山での生活のご様子も見ることができます。
加藤直樹@ISFA
「パターンあやとり」のすすめ その2:継続処理「4隅の小さな輪の処理」を使って 2022/08/15
1:4隅の小さな輪の処理とは
長谷川浩氏の「パターンあやとり 」の第2章6節「4隅の小さな輪の仲間 」を是非見てください。とり方が詳しく出ています。また、用語は石野恵一郎氏の「あやとりしてみよう 」の「用語 」を使用させていただいています。
4隅の小さな輪の処理にはFig.2-61にあるように親指小指に1つ隣の紐をからませる場合と、
Fig.2-61:四隅の小さな輪(1つ隣)
Fig.2-62にあるように、ふたつ隣の紐を絡ませる場合があります。
Fig.2-62:四隅の小さな輪(2つ隣)
ひとつ隣の紐の輪を半回転させることによって、ふたつ隣の紐を絡ませるのと同じになるというのが、今回のポイントです。Fig2-62の伝承あやとりビヤトエイディオウィナゴの中心のような美しい模様ができます。
今回ご紹介するすべての工程で親指小指の隣の紐の輪を半回転させているのに注目してください。
2:開始処理、人差し指の構えから(3本指の構え)
2-1
人差し指の構え。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
親指を人差し指の輪の中に上から入れて人差し指手前の紐を親指の背にかけて、親指を下から手前、上へと回して人差し指手前の紐を絡めとる。
親指を逆ナバホ取りする。
指にかかっている複数の紐のうち、根元の紐を先の紐の中から引き出し、先の紐を外して引き出した紐を指に戻す。
小指を人差し指の輪の中に上から入れて人差し指向こうの紐を小指の背にかけて、小指を下から向こう、上へと回して人差し指向こうの紐を絡めとる。
小指を逆ナバホ取りする。
テントの幕。
人差し指の輪の中に下からすべての指を入れ、人差し指の輪を手首に落とす。
親指で小指手前の紐を取る。
小指で親指向こうの紐を取る。
左親指で下からすべての紐をすくい取る。
右手で左親指の2本の紐をつまみ、左親指からすべての紐(すくった紐も)を外す。
左親指をつまんでいる2本の紐に戻す。
右手で同様に4~6を行なう。
手首の紐を外す。
左右に強く引く。
2-1
2-2【2-1の2と3を2回繰り返して同様に取る。】
人差し指の構え。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
テントの幕。
2-2
2-3【2-1の2と3を3回繰り返して同様に取り、最後は小さなアムワンギヨの終了処理を行ったもの。】
人差し指の構え。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
小さなアムワンギヨの終了処理。
親指を上から人差し指の輪の中へ入れ、小指手前の紐を取る。
小指を下から人差し指の輪の中へ入れ、親指向こうの紐を取る。
人差し指の紐を外す。
人差し指を上から小指の2本の輪の中へ入れ、小指向こうから中央へ走る紐を背で押し上げ、小指から小指に走る紐を腹でひねって取る。
小指の紐を外す。
人差し指の紐を小指に移す。
親指で二重ナバホ取りする。
指にかかっている複数の紐のうち、根元の紐を先の紐を越えて先に移動する。
ナバホ取りする。
カロリン展開。
人差し指で親指手前の紐を取り、親指の紐を外す。
親指で下から小指手前の紐と人差し指手前の紐を取り、人差し指の紐を外す。
人差し指で親指向こうの紐を下から取り、親指でその人差し指で取った紐を人差し指に押し付けながら掌を向こうへ向けて展開する。
2-3
2-4-1
これはダントニー氏の創作「D'Antoni 144」で、この国際あやとり協会のホームページに紹介されているものです。
創作あやとり by Joseph D'Antoni
取り方は異なりますが(紐のかかりが同じなのかは確認できていません)、下の写真は上の写真と同じ形のあやとりです。はじめにナウルの伝承あやとりエガラウィナゴ、中指の輪を人差し指に移して人差し指の輪を半回転、4隅の小さな輪の処理、エオンガツバボしたものです。
2-4-1
エガラウィナゴ。
5本指の構え(ナウルの構え2)。
人差し指の構え。
薬指で人差し指向こうの紐を取る。
右中指で左中指腹の紐を取る。
左中指で右中指腹の紐を右中指の輪の間から取る。
親指で上から薬指手前の紐を取る。
人差し指で親指向こうの紐を取り、親指の紐を外す。
親指を下から人差し指下の輪の中に入れ、小指向こうの紐を取る。
小指の紐を外す。
小指で上から人差し指手前上の紐を取り、その紐を人差し指から外す。
薬指と人差し指の紐を外す。
中指の輪を人差し指に移す。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
エオンガツバボ。
親指腹で、人差し指手前の紐を押さえる。
人差し指を上から小指の輪の中へ入れ、人差し指の輪の中から親指手前の紐を取る。
親指で小指向こうの紐を取り、小指の紐を外す。
小指で上から人差し指手前上の紐を取り、その紐を人差し指から外す。
人差し指の紐を外す。
カロリン展開。
2-4-2【4隅の小さな輪の処理を2回繰り返し、最後に小さなアムワンギヨの終了処理したもの。取り方は異なるが(紐のかかりが同じなのかは確認できていません)、ダントニー氏の創作「D'Antoni 128」と同じ形になる。】
人差し指の構え。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
4隅の小さな輪の処理。
小さなアムワンギヨの終了処理。
2-4-2
2-4-3【途中の4隅の小さな輪の処理で小指だけに小さな輪を作ったもの。取り方は異なるが(紐のかかりが同じなのかは確認できていません)、ダントニー氏の創作「D'Antoni 71」と同じ形になる。】
人差し指の構え。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
人差し指の輪を向こうに半回転する。
小指を人差し指の輪の中に上から入れて人差し指向こうの紐を小指の背にかけて、小指を下から向こう、上へと回して人差し指向こうの紐を絡めとる。
小指を逆ナバホ取りする。
小さなアムワンギヨの終了処理。
2-4-3
こんな風にいろいろ遊べます。
3:開始処理、4本指の構え(ナウルの構え1)より
3-1
4本指の構え(ナウルの構え1)。
人差し指の構え。
人差し指の紐を中指に移す。(中指の構えと同じ)
親指の紐を人差し指に移す。
左親指背で上から右人差手前の紐を取る。
右親指で左親指手前の紐を根元で取る。
人差し指、中指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
親指を人差し指の輪の中に上から入れて人差し指手前の紐を親指の背にかけて、親指を下から手前、上へと回して人差し指手前の紐を絡めとる。
親指を逆ナバホ取りする。
小指を中指の輪の中に上から入れて中指向こうの紐を小指の背にかけて、小指を下から向こう、上へと回して中指向こうの紐を絡めとる。
小指を逆ナバホ取りする。
人差し指の輪と中指の輪を入れ替える。
右中指の輪を左手でつまみ上げてはずし、空いた右中指に、右人差し指の輪を外してかける。
空いた右人差し指に、左手で持っていた右中指の輪をかける。
反対の手で同様に1~2を行う。
焼け焦げた葉のククイ の終了処理。
左手で、右人差し指と右中指の向こうの紐を同時につまんで持ち上げ、持ち上げた2本の紐の下を通して、右親指で右小指手前の紐を取り、右小指で右親指向こうの紐を取る。
左手でつまんでいた紐を離す。
反対の手で同様に1~2を行う。
人差し指と中指の輪を外す。
3-1
3-2【3-1の3と4を2回繰り返して同様に取る。】
4本指の構え(ナウルの構え1)。
人差し指、中指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
人差し指の輪と中指の輪を入れ替える。
4隅の小さな輪の処理。
人差し指の輪と中指の輪を入れ替える。
焼け焦げた葉のククイの終了処理。
3-2
3-3【3-1の4の後に、人差し指と中指の輪を向こうへ半回転し、5の終了処理をタイガーショベルノーズキャットフィッシュにしたもの。】
4本指の構え(ナウルの構え1)。
人差し指、中指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
人差し指の輪と中指の輪を入れ替える。
人差し指と中指の輪を向こうへ半回転する。
タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理。
人差し指の先端を、掌を横切る2本の紐を越えて自分自身の輪の中に上から入れる。
同様に中指の先端を、掌を横切る2本の紐を越えて自分自身の輪の中に上から入れる。
親指・小指の二重の輪を外し、人差し指・中指を下から手前へ回転する。人差し指・中指の背の紐は外れる。
人差し指を上向き、中指を手前向きにして図形を展開する。
3-3
4:開始処理、5本指の構え(ナウルの構え2)より
4-1
5本指の構え(ナウルの構え2)
人差し指の構え。
薬指で人差し指向こうの紐を取る。
右中指で左中指腹の紐を取る。
左中指で右中指腹の紐を右中指の輪の間から取る。
人差し指と薬指の輪を向こうに半回転する。
4隅の小さな輪の処理。
5本の指全ての輪を向こうに一回転する。
焼け焦げた葉のククイの終了処理。
左手で、右人差し指、右中指、右薬指の向こうの紐を同時につまんで持ち上げ、持ち上げた3本の紐の下を通して、右親指で右小指手前の紐を取り、右小指で右親指向こうの紐を取る。
左手でつまんでいた紐を離す。
反対の手で同様に1~2を行う。
人差し指、中指、薬指の輪を外す。
4-1
4-2【「ともさん 」に4隅の小さな輪の処理を加えたもの。】
吉田の構え。
5本指の構えから、人差し指の輪を親指に移し、薬指の輪を小指に移す。このことで小指と親指が二重になる。中指の輪を人差し指に移すと、人差し指の構えとみなせるものになる。
4隅の小さな輪の処理。
焼け焦げた葉のククイの終了処理。
4-2
5:最後に
終了処理に、7つのダイヤモンドや、テントの幕、ダンスの舞台、天の川、エオンガツバオ、アムワンギヨ、ナウルの終了処理etc...を使って変化させたり、継続処理として4隅の小さな輪の処理をできる限り増やしたり、際限なく楽しめます。(開始処理も5本が限界ではありません。無限に増やせます。)
「4隅の小さな輪」だけでこれだけ楽しめるのですから、「パターンあやとり」は創作あやとりを無限に楽しめるという訳です。
これらの作品は、長谷川浩氏の「パターンあやとり 」と、石野恵一郎氏の「あやとりしてみよう 」の用語やアイデアを沢山いただいております。お二人に深く感謝申し上げます。
吉田仁子@ISFA
〔追記〕
加藤直樹@ISFA
第18回 今年も元気に「ゆびはまほうつかい」~善気山遊びの寺子屋 報告 2022/08/12
コロナ蔓延で緊急事態の2020年、2021年は入学式や卒業式、体育祭、修学旅行など多くの学校行事が中止となり、イベントも同様で、公共施設は閉館状態になっていました。京都もコロナの波が押し寄せ、遊びの寺子屋も中止でした。
2022年もコロナの第7波が予測されていましたが、今年は3年振りに実施時間を縮小して実施されました。7月27日(水)・28日(木)の二日間の開催で、実施時間は10時~12時30分、21のプログラムすべてが申し込み制でした。第18回遊びの寺子屋への参加14回目となる「ゆびはまほうつかい」は、7月27日のみ実施となりました。
開催時間: ①10時~11時10分 定員10名、②11時20分~12時30分 定員10名
講師: 青木萬里子(野口あやとり会指導員・国際あやとり協会会員)
加藤直樹(国際あやとり協会会員・国際あやとり協会(ISFA)ホームページ管理担当)
「遊びの寺子屋」のお知らせ(法然院への道中にて)
例年の「ゆびはまほうつかい」は南書院の<自由空間>ゆったり、のんびり、おてらでひるねをテーマに「ふろしきコーナー」「お話の世界を楽しもう!絵本コーナー」などが同時に開催されていました。そこに観光を楽しむ方や外国の方が自由に出入りして、一緒にあやとりにも参加して下さいました。世界各国であやとりが脈々と伝承されていることを実感しました。
中でも、「二人あやとり」は世界中で楽しまれている事が解ったこと、日本では「二人あやとり」の一つ一つに名前がついていることを伝えると、驚かれていました。日本の先人の感性の豊かさを、再認識させられました。ふろしきや絵本読み聞かせの担当者も、あやとりは世界中にあることを知り、大喜びされていました。この賑わいの中で、私も沢山のことを学ばせてもらいました。
今年は自由空間は無く30畳ほどの広い南書院はあやとりコーナーが独占でした。テーブルを囲み、①、②のグループともテキストを見ながら始めました。
開催準備をする講師の青木萬里子(右)と加藤直樹(左)
テキスト「ゆびはまほうつかい!!世界のあやとりで遊ぼう」の表紙の“あやとりは日本の遊びと思っていませんか?”、“伝承あやとりは同じ形でも国や地域により名前が異なります”について、まず『世界の伝承あやとりシリーズ本』(野口とも著・誠文堂新光社)を見ながらお話しし、写真パネルを見せながら、「インドの手」(日本ではほうき)は「インドの人にとって手はご飯を食べる大事な道具なんだね。日本人は綺麗好きだからほうきになったのかな?」
「エチオピアの魚を捕る網」(日本では二段ばしご)は、「エチオピアでは命をつなぐ大事な魚を捕る道具。日本は高いところに上ったりする道具に見立てたんだね。」加藤さんが実演すると、自分でもとれる「ほうき」「二段ばしご」なので興味津々の様子でした。
「ペルーのわな」では「ワニが口を開けて子どもたちを待ちかまえているから、気をつけなさい!と大人が危険を教えたあやとりです。」私が作ったワニの口に加藤さんの両腕が・・・、そしてパクリ!ちょっとドキドキし、ワニの口でだますのは楽しい、面白い!とあやとりに引き込まれていました。
テキストの内容は「月にむらくも」「富士山」「かに→昔のわらの納豆→女の子」「バトカ峡谷」へと続きます。
①グループは、小学4年生の女の子たち3人と4歳の妹さん、高校の先生(ISFA会員の北島さん)、幼稚園の先生。付き添いのお母さん方にも参加していただきました。
あやとりの紐として、黄色と山吹色の毛糸から選んでもらうときに「どうしてその色がいいのかな?」と尋ねると、「バナナが好きだから」「ミカンが好きだから」とちょっと心が和んだところで、はじまり、はじまり。
「どっちの色の紐が良いかな~?」
「皆さん紐はありますか?それでは、はじまり、はじまり~」
テキスト1ページは「富士山」「月にむらくも」。友達同士、教えあったりお隣の人に教わったりしてスイスイ出来ました。北島さんは高校の数学の先生で、授業で数学にあやとりを取り入れたり、生徒の皆さんとあやとりに挑戦されています。お隣にいた4年生の女の子も、わからないとことがあると、気安く声を掛けて「富士山」のポイントを教わっていました。
「夏の夜空はきれいでしょ?テキストには無い一番星を作ってみましょう。ひもは二重にします。左手にひもを掛けたら、右手は人差し指で一番星の1を作り、その指にひもを掛けます。右手の小指で左手のひもを上からひねってとります。仕上げは右手の親指で小指の手前のひもをとったら一番星の出来上がり。」みんなの手の中には一番星がきらきらとできて、「ほら!見て!」と満足気に見せ合っていました。無言で挑戦していた4歳の女の子の可愛らしい手の中にも輝いていました。
手の中に輝く一番星
大人の方は「バトカ峡谷」にも挑戦。「ジンバヴエ・ザンビアのあやとりです。ヴィクトリアの滝から流れた河が作る峡谷を表現しているそうです。」「始まりは滝ですから腕に掛けて滝を作りましょう!」「先生、とっても上手ですね。印象に残る説明で引き込まれます」と言ってくださいました。「外国のあやとりは、初めの出だしがユニークですね。」と驚かれてもいました。「見てみて!バトカ峡谷だよ」と子どもたちに見せると、「お母さんすごい!」とほめてもらっていました。
親子で一緒にあやとりを楽しめた時間は宝ものです。
②グループ目は、Eさんご家族(小学1年男の子、5歳男の子、2歳男の子、おじいちゃんとおばあちゃん)、Oさん家族(4年生の男の子大和くん。1年生の妹さん。お父さん)、シニアの女性。
講師の話に耳を傾ける②グループ目の皆さん
Eさんおじいちゃんに「子どもの時、あやとりをしたことがありますか?」「ありますよ。だけどゆびが動かないなー」と言いながらも一所懸命、あやとり「富士山」の登頂目指して特訓。加藤さんの指導で「富士山」に無事、登頂。万歳!
「おじいちゃん、今日、誕生日なんだよ!」と1年生のお孫さん。「みんなでハッピーバースデーを歌いましょう!」と大きな声で合唱しました。「孫が誕生日、覚えてくれてて嬉しいね。」と照れていました。孫と一緒にあやとりをするおじいちゃんは若々しくて素敵でした。
大和くんは1年生の時に京都から東京は代々木の「野口あやとり会」に参加して、検定にも挑戦したあやとり少年です。4年生になり、「ちょっと忘れたかも知れない!」と言いながら加藤さんに、上級編の「白鳥」「耳の大きな犬」などを教わっていました。「ゆびが覚えてる!」と言って喜んでいました。
妹さんは本を見ながら、黙々と指を動かし、出来上がると笑顔を添えて披露してくれました。
「お父さんは一緒にあやとりされるんですか?」「僕は本を買ったり、本がぱたんと閉じないように、押さえている役目なんです」と言いながらもテキストの「富士山」「月にむらくも」「おほしさま」と完璧でした。家族で楽しめるOさん一家は素敵ですね。ここでもあやとり万歳でした。
「富士山」も完璧!
シニアの女性は「遊びの寺子屋があると、あやとりをやる切っ掛けになるんですよ。」と若者と一緒になってあやとりを楽しみながら、「みんなはすごいわね。早く覚えて、上手に出来るね。」とほめることも忘れません。笑顔いっぱいで気軽に京言葉で語りかけてくださる京都のおばあちゃんです。京都であやとりしてることを実感させてくれる有難い方です。
夏の日差しが照りつける法然院への坂道は、きついにもかかわらず参加下さりありがとうございました。今年はまだまだ先が見えないコロナ状況でしたが、法然院の梶田真章さん、森のセンターのみなさんのご尽力で「遊びの寺子屋」を開催してくださり本当にありがとうございました。
自粛の企画でしたが、あやとりに関しては、このやり方も落ち着いて出来て良かったかな、と思っています。欲を言えば、世界にあるあやとりなので、外国の方がぶらりと立ち寄って法然院であやとりしよう!も捨てがたいです。そんな日が来るのを切に心待ちにしています。
講師・撮影担当の加藤直樹さん、青木幸久さんお疲れさまでした。
近くには銀閣寺や哲学の道もございます(哲学の道にて撮影) ぶらりと立ち寄ってあやとりできる、そんな日が来るのを心待ちにしています
青木萬里子@ISFA
片手で取り合うふたりあやとり 2022/08/04
ISFAのメーリングリスト に、中国のあやとりの動画が投稿されました。そこには、ふたりで取り合ういわゆる「ふたりあやとり」が映っていました。そこまでは普通なのですが、取り方がとても興味深いのです。普通は一人が網や川などのパターンを作り、もう一人がそれを取って別の形にします。しかし、ここでは二人の片手(例えば左手)でパターンを作り、空いている片手(右手)でそれを取るのです。次は二人のもう一方の手(左手)で取る、という具合に繰り返します。スナップショットを添付しておきます。
k16@ISFA
【第1回小規模あやとり検定】報告 2022/07/30
この度コロナの蔓延防止対策を兼ねて、少人数での「第1回小規模あやとり検定」を東京都東久留米市の世話人宅で2022年7月23日に実施いたしました。あやとり検定と講習会の指導は、あやとりコンテスト会長の杉林武典氏と府中あやとり教室を開催して2000人ほどのお子さん達にあやとりを教えておられる指導歴ベテランの服部知明氏が担当して下さいました。募集期間も短く、猛暑の中での開催だった割には、熱心な受験生が集まり、講習会も少人数でのきめ細かい丁寧な先生方の指導もあって、思ったより充実した会になったと思います。
検定と講習は指導員2名が2部屋を使って、合計4回に分けて実施いたしました。まず、午前中に第1部を、昼食をはさんで第2部は午後1:00~2:50まで、第3部は午後3:00~4:50まで、そして第4部を別室で服部氏指導のもと4:40から始めました。
第1部は午後から行われる検定、講習会の指導員でもあり、毎回のあやとり検定に挑戦し続けて誰よりも多くの合格証を取得していて、検定用あやとりは全てマスターするとの意気込みを持っておられる服部知明氏の検定で始まりました。服部氏の受験が終了したあと、軽い昼食をとって午後の部を迎えました。
午後1時より始まった第2部に参加したのは、数年前よりあやとり講習会と検定に挑戦し続けている稲垣玲君(小6)と、参加2回目の大石薫さん(小1)の二人でした。稲垣君は杉林先生が、大石さんは服部先生がマンツーマンで担当してくださいました。稲垣君は前回「あやとり教室指導員」の資格を取得していますが、今回は更に上級の「キツネとクジラ」の合格証を取得しました。
稲垣玲君、合格証授与
稲垣玲君、合格証取得
杉林先生と稲垣玲君
大石さんは初級2枚、中級3枚、上級1枚の合格証を取得して「あやとり指導員認定書」が贈られました。
大石薫さん、合格証取得
服部先生と大石薫さん
検定のあと、マンツーマンの贅沢な講習が行われました。
第2部 講習会風景
第2部 ティータイムをはさんで
午後3時からの第3部には、すでに「あやとり教室指導員」の資格を持っておられる伊藤ひでさんが中級2枚の合格証を、そして伊藤さんのお友達の吉井よし子さんが今回初めて検定に参加され、初級、中級それぞれ1枚ずつの合格証を取得されました。吉井さんはこれからもあやとりに取り組みたいと「改訂版あやとり大全集 」を購入されたので、野口ともが目次に従って初級の「お星さま」から始めて何種類かを、続いて指導助手の嶋津香さんが中級の「ナバホの蝶」などを指導しました。初めて検定と講習会に参加された吉井さんは、あやとりのすばらしさに感動しておられました。
伊藤ひでさんと吉井よし子さん、合格証2枚取得
吉井よし子さん「たくさんの星」完成
第3部には前回「あやとり教室指導員」の資格を取得された奥野ふみさんも初級、中級の合格証を取得しました。奥野さんは伊藤さんと共に杉林先生から上級あやとり「小舟→かに」や「ひきがえる」等の講習を受けておられ、あやとりは奥深くて楽しいのでずっと続けたいと言って「頭がよくなる育脳あやとり 」の本を購入されました。
また第3部には参加2回目の小野枝理佳さんが中級の「お守り」と「コウモリのむれ」を受験され合格証を取得しました。講習にはお母様の小野安由美さんも加わって服部先生から沢山のあやとりを教わって喜んでいました。
奥野ふみさんと杉林先生
服部先生と小野枝理佳さん
第4部には、チェスのキャンプを途中退場して参加した秋山海璃君(小1)が初級2枚、中級3枚、上級5枚の合格証を取得して「あやとり教室指導員」の資格を獲得することが出来ました。今年の4月に最年少で「あやとり教室指導員」の資格を獲得してテレビ出演や神奈川新聞などマスコミでも有名になった大坂聡志君も、この夏休みをあやとり指導で大活躍をしていますが、秋山海璃君は最年少「あやとり教室指導員」の履歴を更新した形となりました。検定の後で秋山君は服部先生から短時間で沢山の上級あやとりを教わり喜んで帰られました。
秋山海璃君、合格証10枚取得
杉林先生(奥)と左から野口、秋山君、服部先生(手前)
こうして初めての小規模検定は各回とも笑顔の絶えない楽しい会となって無事に終了しました。先生方、遅くまで本当にご苦労様でした。参加者の皆さまもどうぞ引きつづきあやとりの楽しさ、素晴らしさ、奥深さを体験して、この猛暑の夏を乗り越えて下さい。
次回は猛暑を避けて10月8日(土)を予定していますが、コロナの感染状況によっては中止になる可能性もあります。参加の募集は8月中旬に国際あやとり協会のホームページを通じて公表を予定しています。
あやとりコンテスト世話人:野口とも@ISFA & 写真提供:嶋津香
フジテレビ系列「めざましテレビ」キラビト!VTR出演 2022/07/20
2022年7月14日(木)に、フジテレビ系列「めざましテレビ」番組内のコーナー「キラビト!」~全国のキラキラしている人を紹介するコーナー~にて、協会会員である大坂聡志君がVTR出演しました。聡志君(小学2年生)は今年、最年少であやとり教室指導員認定書を取得しており、その内容が地域情報紙 をはじめ、様々な新聞やネット記事にて掲載されています。
キラビト!の番組内では、上記で述べた最年少での取得のことや、数百種類にも及ぶあやとり作品をこれまでに取得・考案したことに触れたり、「小舟→かに」や「つがいの雷鳥 」「天の川 」「カモメ 」「白鳥 」のほか、「背伸びをする男」「初日の出 」「スペースシャトル」といった聡志君オリジナル作品を取っていました。また「一人でも多くあやとりあやとりに興味を持ってもらい、世界にあやとりを広めたい」という、あやとりに対する想いも語る場面もありました。
コーナー終了後めざましテレビのスタジオでは、「(これほどいろんなあやとりを)できるのも凄いけど、自分で200種類オリジナルを考えちゃうっていうのも(凄い)ね」という三宅アナウンサーからのコメントもございました。
以下、聡志君のお母様からいただいたコメントを掲載します。
実際の放送は1、2分でしたが、屋外でのインタビューや室内でのあやとり撮影を朝から夜までと丸1日掛けて丁寧に撮って頂きました。あやとりの撮影では、同じあやとり作品をアングルを変えて何度も撮り直し、良いところで停止するのに苦労することがありました。
ただそうした苦労の甲斐もあり、聡志の学校でも全校生徒に放送を見て貰ったようで、各々のクラスの反応は分かりませんが、聡志のクラスでは「凄いね」とかなり驚かれていたようです。地域の方も見てくださってる方もいるので、今後のあやとり普及に繋がればと思っております。
また、番組コーナーの最後のひと言の部分では本人の好きな言葉を言うのですが、聡志の好きな言葉「雨垂れ石を穿つ」は、小さな力しか無くてもコツコツと努力すれば大きな力を持てると言う意味で、お恥ずかしながら私は、その言葉を知りませんでした。
あやとりに関しても、地道に活動していけば何か大きな事に繋がると信じて続けていけたらと思います。
大坂聡志@ISFAのお母様 & 加藤直樹@ISFA
横浜市立矢向小学校でのあやとり授業 2022/07/15
2022年7月6日(水)に横浜市立矢向小学校にて、総合学習の一環として4年3組の生徒を対象に、あやとりの授業を行いました。国際あやとり協会からはあやとり教室指導員の服部氏、吉田氏、伊藤氏が伺いました。
あやとり授業の様子
授業では、簡単な自己紹介と国際あやとり協会についての説明を行った後、実際に紐を使ってあやとりの実技を行いました。
実技の内容で予定していたのは「おうむ」、「蚊」、「バナナ」の作品のみでしたが、予想以上に早く生徒達全員が覚えてしまったので、急遽予備で用意していた「耳の大きな犬」と「潮の満ち引き」にも取り組みました。上級者向けの難易度にもかかわらず、大半の生徒が時間内に覚えてしまい、指導員一同はただただ感嘆するばかりでした。
また生徒から「最も難しいワザは何か?』」という質問があった際、指導員の服部氏は「『人喰いワニ』か『3つの結晶』だろう」と答え、実際に目の前で両方の作品とも取ってみせる場面もありました。他にも紐の作り方、上手く伝わる教え方、難しいワザを覚えるコツなどを話し合ったりしました。
指導員講師の服部知明氏と「耳の大きな犬」
また後日談で、実は生徒達自身が国際あやとり協会のホームページを調べて、今回のあやとり授業を依頼する内容を考えてメールを協会に送っていた、という話を伺いました。さらには、事前に協会とメールでのやり取りもほとんど生徒達が行っていたそうで、その主体的な姿勢に驚かされました。
今回の授業を通して、日本以外にもあやとりがあり、どれも面白くて覚えがいのある事が多くの生徒に伝わったと思います。
こうした機会を通じて国際あやとり協会をより多くの人に知っていただき、あやとりの輪が広がるといいなと思います。
服部知明@ISFA & 加藤直樹@ISFA
第30回野口廣記念あやとり講習会・あやとり検定報告 2022/06/04
新緑の美しい代々木のオリンピックセンターで、コロナの蔓延防止等重点措置が解除された5月21日(土)の午後に第30回野口廣記念あやとり講習会と検定を開催しました。
コロナの感染対策として、オリンピックセンターでは入場の際に正面入り口で検温を行っており、体温が37度以上ある場合は参加の中止をお願いしたり、必ずマスクの着用をお願いしました。会場となる教室は3密を避け、通常の2倍の広さの80人部屋を予約してありました。会の始めにはスタッフの方達に教室の窓を全開して、机や椅子、ドアの取手などを消毒液で拭いていただき、安心しての開催となりました。
今回も関東一円の他、地方からは福島県会津若松から車で参加されたり、遠く沖縄からも親子で参加された方もおられて、にぎやかな楽しい会となりました。
講習会は先ず小学生以下のお子さん達の発表会で始められました。「2段ばしご」や「4段ばしご」「流れ星」などの他に「耳の大きな犬」や「天の川」などかなり難易度の高いあやとりまで幅広い内容の発表会でした。
「あやとり名を教えて下さい」(先生)「天の川」です。(小2)
初級クラスの指導はいつも通り青木萬里子先生です。
今回は「お星さま」「あげはちょう」「ロープの吊り橋」「流れ星」などのあやとりが取り上げられ、初めて参加されたお子さん達も上手にとれていました。
加藤先生の指導も加わって閉会までに全員完成しました!!
これらのお子さん達がこれからどんどん上達していかれる事と楽しみです。
中級Aクラスは府中あやとり教室の服部知明先生で、子どもたちに人気のある「2匹の小鹿」や「2人の族長」などが取り上げられました。中級を受講したお子さんはこれらのあやとりをマスターして、「できた!」ということが喜びにつながり、あの日を境にますますあやとりを楽しんでいるそうです。今回も府中あやとり教室の教え子さんたちが何人か参加されていました。課題を終えたあと、2人あやとりを楽しむ光景も見られました。
「こんなのも出来るんだ~」
また、中級Bクラスでは小2で「あやとり教室指導員」の資格を取得したばかりの大坂聡志君が指導の実習としてアルゼンチンの「火山」の指導を受け持って下さいました。「火山」を受講したAさんは「分かりやすく、やさしく教えて下さり、教え方がとてもお上手です。」とほめておられました。
大坂君は「あやとりの楽しさ、すばらしさをもっと多くの人に伝えたい」との思いで、ハードルの高い「あやとり教室指導員」の資格を取得しているので、これからもその思いを達成できるよう応援していきたいと思っています。
上級クラスはいつも通り杉林武典先生です。今回は世界でも最も難易度の高いものの一つとされる極北圏のあやとり「キツネとクジラ」を取り上げられました。この難解な「キツネとクジラ」に挑戦したのが、稲垣玲君(小6)や会津若松から参加した小桧山達也君(小3)、そして沖縄から参加された比嘉大喜君(小1)たちでした。
比嘉大喜君は5歳の時に自分でテキストを見ながら「二重ダイヤ」や「マヌジェの槍」などを完成させているので、
二重ダイヤ
マヌジェの槍
「キツネとクジラ」もマスターしたいとはるばる沖縄から参加しましたが、完成前に時間切れとなってしまいました。でもその夜泊まったホテルで「やっと完成しました。」と写真を送ってくださいました。
キツネとクジラ
上級Bクラスは吉田仁子さんで、ご自分の創作あやとり「ともさん」の指導を受け持って下さいました。吉田さんは「パターンあやとり」の研究をされておられます。
美しい新緑の香りがただよう教室の窓辺では吉田仁子さんの指導で「ともさん」のあやとりを楽しんでいる人々の姿がありました。
【あやとり検定】
講習会と同日同会場で午後3時20分より4時半まで、「第30回あやとり検定」が行われました。検定員は講習会と同じく初級は青木萬里子先生、中級は服部知明先生、上級は杉林武典先生です。
検定は、初級3種とれると合格。中級2種とれると合格。上級1種とれると合格。
今回初めて講習会に参加したお子さんたちも、今日覚えたばかりのあやとりで検定を受けて、みごと合格証を手にして帰られました。おめでとうございます!
「前列の2人」
初級の合格証を1枚、中級の合格証を3枚、上級の合格証1枚で合計5枚の合格証を集めると「あやとり指導員認定書」が贈られる仕組みになっています。
今回は受験者のうち5名がこの「あやとり指導員認定書」を取得しました。
指導員になられたみなさん、お友達やおうちの方などにあやとりを教えてあげてくださいね。沖縄から参加された比嘉智子さん、大喜君、会津若松から参加された小桧山君もこの「あやとり指導員認定書」を取得して帰られました。
更に初級2枚、中級3枚、上級5枚集めた場合は、「あやとり教室指導員認定書」を取得する権利が与えられます。「あやとり教室指導員認定書」を取得するには実技試験の他に筆記試験、アンケートなどの提出もあり、指導の実習も加わるハードルの高い資格です。この資格を取得した人はご自分であやとり教室を開いたり、各種あやとりイベントでの指導など様々な活躍の場が与えられます。今回この「あやとり教室指導員認定書」を3名の方が取得しました。
あやとりはたった1本のひもで、どこでも、だれとでも、一人でも遊べる楽しい遊びで、しかも脳活性につながり、想像力や達成感を養える素晴らしい遊びです。
世界中には3000種類以上のすばらしい伝承あやとりが、先人や国際あやとり協会会員の活動などによって世界各地で見つかっています。そして現代は続々と新しい創作あやとりも増えています。
あやとりの素晴らしさ、奥深さをこれからもご一緒にマスターして、楽しく豊かな人生を送りましょう。
野口廣記念あやとり講習会・あやとり検定 世話人:野口とも@ISFA & 写真提供:青木幸久、嶋津香
BISFA-11J 日本の伝承あやとり 日本語版PDF公開 2022/04/29
さいとうたまさんの日本の伝承あやとりのコレクションは、BISFA-11 として2005年に英語版が出版されました。
⇒
さいとうたま あやとりコレクション
しかし、日本の伝承あやとりの本なのに日本語版が出版されていないことに、長い間、残念な思いを抱いてきました。
京都・三月書房の宍戸立夫氏の協力を得て、英語化前のさいとうさんの原稿が見つかったことから、幾人かのISFA会員の協力のもと昨年から日本語化作業をしていましたが、BISFA-11J としてようやくまとめ上げることができました。
出版に先立ち、ISFA会員に向けてPDFが公開されました。
⇒
BISFA-11 Japanese edition (2022)
ISFA会員でない方は、出版までもう少々お待ちください。ISFAへの入会についてはこちら をご覧ください。
k16@ISFA
〔追記〕2022/05/22
BISFA-11 Japanese edition (2022) の販売が開始されました。
日本からの購入については
こちら
をご覧ください。BISFA-11J は $15+送料 くらいになると思います。
〔追記〕2022/08/17
さいとうたまさんの訪問地で、BISFA-11J に唯一温泉が出てきます。66ページにある熊本の日奈久温泉です。そこに「おきん女人形」という郷土玩具が登場します。たまさんの採集旅行当時は、湯治客の土産に普通に買えたことがうかがえますが、現在では注文生産です。先月日奈久に立ち寄って人形を購入してきました。たまさんのイラストとそっくりです。
k16@ISFA